第8回　放射光構造生物学研究会

日時：2017年9月4日（月）10:00-12:00
会場：広島大学　東千田キャンパス　東千田未来創生センター 2階M202
主催：放射光構造生物学研究会
研究会HP：http://bioxtal.spring8.or.jp/ja/SPRUC/spruc_top_ja.html
開催趣旨：近年、放射光の蛋白質結晶ビームラインでは、高密度フラックスの微小ビームX線が利用可能となり、より小さな結晶からでも十分な回折強度データの収集が可能となっている。しかしながら、過剰なX線照射はX線損傷を無視できず、完全性を損なったデータとなる可能性がある。特に、金属を配位するタンパク質では、金属原子のX線吸収による還元作用が、蛋白質本体へのX線損傷よりも早い段階で生じるため、金属の価数や配位構造といった正確な構造情報が失われる恐れもある。従って、X線損傷を可能な限り避けて、X線還元の状況を把握することは、真の構造を見誤らないための必要な考えである。　第８回研究会では、ビームライン側から、高輝度微小ビームラインのBL32XUの平田邦生博士によるX線損傷の評価と回避測定法のご紹介と、分光物性Iグループリーダーの宇留賀朋哉博士からは、分光ビームラインの様々な試料のX線損傷をご紹介して頂く。また、ユーザー側から、岡山大学の梅名泰史博士からは金属タンパク質の光化学系II蛋白質のX線還元を蛍光X線分光法と結晶構造解析の異常分散データを利用した評価法についてご紹介して頂く。　今後の放射光源はより微小ビーム化と高輝度化に進むことが予想される。X線損傷に如何に対処するか、測定法や損傷度評価などの話題提供と議論を行う。

研究会世話人：梅名泰史（岡山大学・異分野基礎科学研究所）/ 連絡先 E-mail：umena（at）okayama-u.ac.jp

研究会世話人：竹下浩平（大阪大学・蛋白質研究所）/ 連絡先 E-mail：takeshita（at）protein.osaka-u.ac.jp

研究会世話人：西澤知宏（東京大学・生物科学）/ 連絡先 E-mail：t-2438（at）bs.s.u-tokyo.ac.jp

研究会世話人：放射光構造生物学研究会副代表熊坂崇（JASRI）/ 連絡先 E-mail：kumasaka（at）spring8.or.jp

プログラム
10:00-10:10　開会挨拶
10:10-10:30 話題提供１：「放射線損傷とタンパク質結晶構造解析の限界」発表概要：タンパク質結晶構造解析における結晶の放射線損傷の特徴とうまい付き合い方についてビームラインスタッフの立場から話題提供したい。平田邦生（理研RSC）
10:30-10:50 話題提供２：「SPring-8硬X線分光ビームラインでの試料の放射光損傷について」発表概要：硬X線分光計測用アンジュレータ―ビームラインでは、高強度ビームの長時間照射により、試料（デバイス、材料、環境・生体試料）に放射光損傷が起こる。本発表では、損傷とそれに対する対策の事例について紹介する。宇留賀朋哉（JASRI）
10:50-11:10 話題提供３：「Mn4CaO5クラスター持つ光化学系II蛋白質結晶のX線還元の課題」発表概要：光化学系II(PSII)のMn4CaO5クラスターの電子密度マップと、XAFSや蛍光X線強度の分光測定からMn原子のX線還元を紹介する。梅名泰史（岡山大異分野基礎研）
11:10-11:30 話題提供や過去の議事録などを踏まえて議論
11:30-12:00　総合討論

第8回 放射光構造生物学研究会

第8回　放射光構造生物学研究会