SPring-8 News 13号(2004.3月号)
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![]() 地球内部の構造と本研究による炭素の長期的大循環モデル
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研究成果・トピックス
全地球マントル領域における炭酸塩鉱物の安定性の解明
愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
博士後期課程 一色麻衣子
教授 入舩 徹男
1.地球内部の構造と運動
地球の内部構造はよく卵にたとえられます。薄い地殻は卵の殻、その下のマントルは白身、中心を占める核が黄身です。これらのうち核の外側を除いては固体であり、従って卵といっても黄身が軟らかい半熟卵といったほうがいいかも知れません。マントルは深さ660km付近(圧力約24万気圧)の不連続面を境に、大きく上部マントルと下部マントルに分けられます。また、核も深さ5200km付近を境に外核と内核に分けられ、前者は融けた鉄、後者は結晶化した固体の鉄が主要な成分です。このような構造を持つ地球の内部は高温高圧の世界であり、マントルと核の境界付近で約130万気圧・3000度C、また中心で360万気圧・5000度Cくらいの圧力と温度に達しています。
地球の体積の8割を占めるマントルは、主にかんらん石などの珪酸塩鉱物からできています。マントル中には厚さ100kmくらいの海洋プレートが日本などの島弧付近で沈み込み、これが地震や火山の原因となることが知られています。沈み込んだプレートは660km付近で一旦停留し、その多くはさらに下部マントル深くに達すると考えられています(表紙図)。
下部マントルと核の境界付近にはD”(ディーダブルプライム)層と称される、起伏に富んだ不均質な厚さ200kmくらいの層が存在します。ここは沈み込んだプレートの“墓場”であるとともに、核の熔融鉄とマントルの鉱物が反応し、化学的にその上のマントルとは異なると考えられています。また、鉄の核と珪酸塩のマントルの化学組成境界であるこの付近の深さでは、大きな温度勾配を有する熱境界層が形成されます。
一方、沈み込む冷たいプレートに対して、D”付近に起源をもつ上昇流であるホットプルーム*の存在が知られています。特に南大平洋やアフリカ直下には、非常に大きな“スーパープルーム”の存在が、最近の地震波トモグラフィー*などの手法により見事にとらえられています。
2.炭素の長期的大循環
炭素は太陽大気の組成に基づく元素の宇宙存在度からみて、水素、ヘリウム、酸素に次いで太陽系において4番目に多い元素です。しかしこれらの元素は揮発性が高いため、地球の形成過程でその大部分が散逸しています。隕石などから推定される地球の中の炭素含有量は0.1%程度ですが、それでも重さにすると地球全体で1018トンという膨大な量に達します。
これに対して、大気中には二酸化炭素(CO2)として1012トン程度、また生物圏にはこの5倍、海洋中には50倍程度の炭素がそれぞれ有機物や炭酸水素イオンとして含まれています。これらの炭素は光合成などの生物活動や大気-海洋間の化学反応により、数十年~数百年程度の短期的な時間スケールで地球表層付近を循環しています。このサイクルは近年の人類の生産活動の急激な増大にともない均衡がくずれつつあり、大気中の二酸化炭素の増大が地球温暖化を招く可能性が危惧されています。
一方、より長期的な地質学的時間スケール(数万年~数億年)においては、炭素は海洋底に炭酸塩鉱物として堆積し、マントル深く沈み込む海洋プレートの一部として、地球の中にもたらされます(表紙図)。その量は年間5000万トンにのぼると推定されています。その一部は沈み込めずに陸のプレートにくっついたり、また分解して二酸化炭素として火山ガスとして地表に戻りますが、そのような収支バランスを考えても年間2000万トン程度の炭素が炭酸塩鉱物としてマントル深部にもたらされる可能性があります。
堆積物中の様々な炭酸塩鉱物のうち、上部マントル深部でもっとも主要なものはMgCO3(鉱物名マグネサイト)であると考えられています。この鉱物は温度圧力の変化にともない、MgO+CO2に分解して二酸化炭素を発生したり、MgO+C+O2となってダイヤモンドを生成する可能性が指摘されてきました。従ってマグネサイトの安定性を地球内部の条件下で明らかにすることは、炭素の長期的な全地球規模での大循環や、天然ダイヤモンドの生成過程を明らかにする上で大変重要な課題です。
3.マグネサイトの安定性と新高圧相の発見
これまで、マグネサイトの高温高圧下での安定性の実験的研究は、そのほとんどが上部マントル条件に限られていました。一部には下部マントルのある程度の深さまでの高温高圧実験もありましたが、その圧力は50万気圧程度に限られており、実験手法も急冷凍結後常温常圧で回収した試料の分析に基づく間接的なものでした。また、X線その場観察実験がおこなわれた例もありますが、圧力は80万気圧程度の下部マントルの中ほどの深さまで、また温度も室温条件に限られていました。我々はSPring-8のBL10XUに設置されたレーザー加熱ダイヤモンドアンビル装置*(LHDAC)と、挿入光源からの強力な単色X線を利用して(図1)、ほぼマントル全域に対応する120万気圧、2500℃程度までの圧力温度条件下でのマグネサイトの相変化を、X線その場観察実験により解明することに初めて成功しました。
実験は様々な圧力の試料をレーザーで加熱して高温高圧状態を実現し、同時に試料に20ミクロン程度に細く絞ったX線を照射してその回折パターンの変化を観察しました(図2)。この結果、下部マントル中深さ2600kmに対応する115万気圧2000℃程度の温度圧力下までの条件では、マグネサイトは分解や相転移*せずに安定であることがわかりました。しかし、これより少し高い圧力下では全く結晶構造の異なる新しい相(マグネサイトⅡと命名)が出現しました。この高圧相は温度を下げても安定でしたが、圧力をさげるとその回折線は見えなくなり、常温常圧下にはとりだすことができませんでした。現在のところマグネサイトの結晶構造を決めるには至っていませんが、約120万気圧での密度は5.2g/cm3程度と推定されます。
図3に今回の実験結果や熱力学計算に基づくMgCO3の予想される相関係と、地球内部の温度分布の推定値を示します。今回の結果は下部マントルのほぼ全域でMgCO3はマグネサイトあるいはその高圧相であるマグネサイトⅡとして存在し、分解してCO2やCを生じることはないことを示しています。ただし、このようなMgCO3が下部マントルの底のD”層に至ったとき、核に接する領域での温度上昇により、CO2を発生する分解反応が起こる可能性があります。このようなCO2は周囲の珪酸塩鉱物の融点を低下させ、D”に起源をもつ巨大プルーム発生のトリガーになり得ます(表紙図)。また、炭素の一部は核の鉄に取り込まれたり、還元されてダイヤモンドとして存在する可能性もあります。これらの可能性を検証するには、更にD”付近の高い圧力と温度での実験が必要になります。BL10XUにおける最近の実験技術の進歩によりこのような条件での実験も可能になりつつあり、今後の研究の発展が期待されます。なお本研究の成果は、ネイチャー誌2004年1月1日号に掲載されました。



用語解説
●ホットプルーム
主に核・マントル境界に起源を持つ高温のマントル上昇流。南大平洋やアフリカなどの下に存在する巨大ホットプルームはスーパープルームと称されて、地表において活発な火山活動をもたらしている。
●地震波トモグラフィー
X線で人体の断層写真(CT画像)を撮影するように、多数の地震波を用いて地球の内部のCTにより、その内部構造を明らかにする手法。
●ダイヤモンドアンビル装置(DAC)
2個のダイヤモンド単結晶により試料をはさみ、力を加えることにより高い圧力を発生させる装置。最高300万気圧に達する圧力の発生例もあるが、試料容積が極端に小さく、高温高圧下でのX線回折その場観察による鉱物の相変化の研究は、従来100万気圧程度に限られていた。
●相転移
圧力や温度の変化により、物質の原子配列が急激に変化して、新しい構造に至る現象。例えば炭素でできた石墨(炭)は5万気圧、1500度Cくらいでダイヤモンドへと相転移する。
SPring-8 テクノ
環境分析への放射光利用
環境分析に求められる分析技術
大量生産、大量消費の結果、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などさまざまな環境問題が発生しました。安全で住みよい環境の実現は、わたくしたちが取り組むべき最重要課題の一つです。
多くの場合、汚染物質の濃度は極めて低いものです。このため、物質そのものや汚染源の特定には高感度分析技術が必要です。また、同じ元素であっても化学状態によって毒性が異なります。例えば、メッキの処理に用いられる6価クロムは、2~4価クロムに比べ、けた違いに高い皮膚毒性を持っています。従って、環境分析では、あるがままの状態で分析(非破壊分析)することが求められます。
近年、放射光やレーザーを用いることで、微量の物質を非破壊分析する技術が大きく進歩しました。SPring-8では高輝度X線やX線マイクロビームを用いた蛍光X線分析法により、これまで不可能とされていた低濃度物質や微小物質を非破壊分析できる技術を開発し、環境問題の解決や半導体の不純物分析、触媒活性の解析などに役立てようとしています。
放射光蛍光X線分析法
物質にX線を当てると原子の内殻軌道電子が励起され、このとき蛍光X線が出てきます(図1左)この蛍光X線のエネルギースペクトルから、元素や化学状態を特定することができます。放射光蛍光X線分析法では、励起X線に放射光を用います。
高輝度・高エネルギーの放射光を分光して余分なX線を取り除き、問題の元素、ねらいの化学結合を励起することで、蛍光X線計測時のバックグラウンドを大幅に減らすことができます。また、励起X線の全反射現象を利用する全反射蛍光X線分析法(プラスワン講座)では、試料表面層の原子のみを励起することで超高感度分析が可能になります。さらに、X線ビームを微細な高輝度スポットに絞り込むマイクロXAFS(プラスワン講座)によって、エアロゾル*や細胞などのようなμmサイズ(1 μmは千分の1 mm)の試料についても、化学状態を明らかにすることができます。これらの結果、SPring-8では鉛などの重金属を含む全ての元素や物質について、これまでよりもはるかに高感度で高精度の蛍光XANES*が可能になりました。

よって、それぞれ、X線吸収原子の化学状態、X線吸収原子まわりの構造についての情報が得られる。
セメント中の6価クロムの無害化
都市ゴミ焼却灰や下水汚泥などの廃棄物は埋め立て用に処分されるほか、一部はセメントの原料として再利用されます。焼却灰や汚泥には微量ながら有害な重金属が含まれています。これらの重金属が雨水などによって環境へそのまま溶け出すようなことがあってはなりません。
金沢工業大学の露本伊佐男助教授等は、セメントに不純物としてもともと含まれる重金属の化学状態を分析するとともに、水を加えてからセメントが固まるまでにその化学形がどのように変化するかを長期間にわたって調べました。1) 図2はクロムについての結果で、不純物の6価クロムは放置日数とともに減少することを示しています。また、6価クロム濃度は30日ほどで一定値になり、減少のスピードはセメントが固まるスピードとほぼ一致することがわかりました。これらのことから露本助教授等は、セメント中の6価クロムは水和反応で溶出し、セメント中に同じく不純物として含まれる2価の鉄によって3価のクロムに還元されたと推測しています。この実験から、無害な2価の鉄をセメント中に微少量加えておくだけで、有害な6価クロムを大幅に低減できると提案しています。

料の6価クロム濃度は6.4mg/kg。Cr(OH)3、Cr2O3などは参照試料。6価クロム濃度は放置日数とともに減少し約30日で一定になる。
廃棄物に含まれる微量有害金属の固定化
都市ゴミを焼却すると、炉床上に残って「もえがら」として排出される焼却灰と「ばいじん」として飛散し集じん器で集められる焼却飛灰が発生します。焼却灰にはカルシウム、ケイ素、鉄などの高沸点金属が、また、焼却飛灰には鉛などの低沸点金属が微少量含まれています。焼却灰はセメント原料や道路材料に利用されつつありますが、焼却飛灰の多くは埋め立て処分されています。焼却飛灰の埋め立て処分に際しては、鉛などの有害金属による汚染を防ぐため、液体キレート剤と混練し有害金属を不溶性のキレート錯体*として固定化する方法が普及しています。しかし、焼却飛灰中の鉛濃度が数十~数千mg/kg と微量であるため、鉛が不溶性キレート錯体に確実に変換されるかどうかは分かりませんでした。
JFEスチール(株)の名越正泰主任研究員等は、イオウを含むジオカルバミン酸系キレート剤で処理した焼却飛灰を蛍光XAFSで解析し、鉛原子が四つのイオウ原子で囲まれたキレート錯体として固定化されることを明らかにしました(図3)。2)このキレート錯体は水に溶けません。廃棄物に含まれる微量有害金属の安全な処理技術を、原子レベルで検証することに成功しました。

左右の曲線は、錯体結合部分の流出をおさえる高分子の鎖。
黄砂微粒子1個の化学状態を非破壊分析
黄砂は中国の黄土地帯で上空に舞いあげられ、偏西風に乗って日本上空まで運ばれてきます。ときには健康に影響を及ぼすことのある黄砂微粒子は、どんな成分でできているのでしょうか。
広島大学の早川慎二郎助教授等は、黄砂現象の起こった日に1 μmから10 μm程度のエアロゾルを多数捕集して、それら1個1個を成分分析しました。図4は、そのときの捕集フィルターを10 keV X線のマイクロビームで走査したときの蛍光X線(鉄のKα線)の強度分布です。3)(1)、(2)のように大きさの異なる粒子が認められますが、蛍光XANESスペクトルから、鉄はそれぞれ、2価、3価(Fe2O3)の状態であることが明らかにされました(図5)。黄砂微粒子は石英を主成分に、チタン、マンガン、亜鉛など様々な金属を含んでおり、元素組成は粒子によってかなり異なるものであることもわかりました。

10 keV X線のマイクロビーム(~2 μmx4 μm)で走査。(1)、(2)などの斑点は黄砂微粒子。

(1)、(2)のスペクトルは、図4の(1)、(2)からのもの。鉄がそれぞれ、2価、3価の状態であることを示す。
以上は、高輝度・高エネルギーのX線や平行性のきわめて高いX線ビームを用いることで初めて可能になった環境分析への応用例です。SPring-8では、以上のほかに高感度非破壊分析が必要とされる下水汚泥処理技術の開発、自動車排ガス触媒の高性能化、環境浄化触媒の設計などの研究も進められています。
プラスワン講座
全反射蛍光X線分析法

X線は物質の内部深くまで侵入する性質を持っていますが、表面すれすれに入射させることで全反射をおこします。この結果、蛍光X線を発生するのは、表面層に存在する原子のみに限られます。1971年、九州大学の米田教授(故人)により提案された計測法で、散乱X線などのバックグラウンドが大幅に低下するため、高感度分析が可能になります。SPring-8では、高輝度な単色X線を励起に用い、新たに開発した結晶分光器を組み合わせることで(図)、これまではとうてい不可能とされていた、1兆分の1(10 -12)以下という低濃度微量物質の分析に成功しました。
マイクロXAFS
SPring-8からの高輝度X線を利用できることで可能になった分光手法で、励起X線にエネルギー可変なマイクロビームを用い、微小領域、微小試料についてXAFS(ザフス)解析を行います。X線マイクロビームを作るためには、KBミラーというX線集光用の鏡を用います。2~4 μm径のビームサイズに、1x1010個/秒(10 keV)以上の光子数が得られました。目的位置にピンポイントでマイクロビームを固定したまま、X線エネルギーを走査しなければなりません。高度な技術が要求される計測手法の一つです。マイクロXAFSは大変ユニークで、環境分析のほか、細胞・組織の生体分析、半導体マイクロデバイスの不純物分析などへの応用が期待されています。
用語解説
●エアロゾル
霧や光化学スモッグのように、大気中に浮遊する液体あるいは固体の細かな粒子。
●蛍光XANES、蛍光EXAFS
図1に示すX線吸収端部分。X線の吸収量が蛍光X線の発生量に比例するという仮定に基づき、吸収スペクトルの吸収量を蛍光X線の強度で置きかえる。XANESはX-ray Absorption Near Edge Structure(X線吸収端近傍構造)、EXAFSはExtended X-ray Absorption Fine Structure(広域X線吸収微細構造)の略。それぞれ、特定元素の化学状態情報、特定原子まわりの構造情報を与える。
●キレート錯体
有機分子が金属イオンをはさみこむようにして強く結合した化合物。
参考文献 |
行事報告
第3回CCLRC-JASRI シンポジウム
CCLRCとは、Council for the Central Laboratory of the Research Councilsの略で、英国のダレスベリ(Daresbury)研究所にある放射光実験施設SRSを運営する機関です。SRSは世界で最初に稼働した放射光専用のシンクロトロン施設で、研究面でも技術面でも長い歴史を持ち、多くの知識の蓄積があります。SRSとSPring-8の間の研究協力を目的に、2001年にJASRIとCCLRCの間に協定が結ばれました。この協定に基づいて、ほぼ1年ごとに研究会が催されています。昨年はSPring-8側の研究者が英国に行き、ダレスベリ研究所で研究会を開きましたが、今回は英国から6人の研究者がSPring-8を訪れて、SPring-8の中央管理棟講堂で研究会が催されました。
英国側からの発表は、まずダレスベリ研究所のPrice所長が研究所の全体計画について話しました。ダレスベリ研究所では新しいX線光源の開発(4GLSプロジェクト)をはじめとして、次世代を指向した新たな研究計画が開始されているほか、ベンチャー企業を誘致するための建物の建設がほぼ完了しています。研究所全体をリサーチパークにして、地域産業と連携する構想が進められているようです。これに続いて、英国側からは5人の研究者が、各研究分野での最新の技術開発や放射光の利用研究成果について話しました。
日本側からは、吉良所長がSPring-8の現状について報告し、それに続いてJASRIの9人の研究者が最新の技術開発や利用研究の成果を報告しました。双方の発表には互いに多くの質問が出され、どちら側にとっても良い刺激となったようです。初めてSPring-8を訪れた英国の研究者は、その大きさに驚いていました。
次回のシンポジウムは、来年ダレスベリ研究所で開かれる予定です。(企画調査部)
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行事一覧
●1月9日 サイエンス・サテライト「SPring-8特別展」に出展(大阪)
●1月14日~15日 第3回CCLRC-JASRIシンポジウム
●2月2日~4日 SPring-8研修会「高分子X線小角散乱」
●2月13日 SPring-8ワークショップ「放射光によるLSI新材料評価技術」
SPring-8 見学者
1月~2月の施設見学者数 1,266名
■主な施設見学者
1月13日 日本信頼性学会関西支部 20名
1月23日 大阪大学蛋白質研究所 アジア学術セミナー 50名
2月5日 佐賀大学国際研究協力課 2名
2月6日 中華人民共和国 中国科学技術部 7名
2月18日 慶應大学理工学部応用化学科 20名
SPring-8 Flash
JASRI 矢橋牧名研究員、第8回日本放射光学会奨励賞を受賞
矢橋牧名研究員(JASRI ビームライン・技術部門)は、「X線強度干渉法」に関する研究成果を評価されたことにより、第8回日本放射光学会奨励賞を受賞しました。同賞は、若手研究者を奨励する趣旨から、放射光科学に関するとくに優れた研究成果を対象に表彰するものです。授賞式は、2004年1月9日(金)、第17回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムの懇親会の席上で行われました。受賞対象の研究成果については、本シンポジウム企画講演の「コヒーレントX線で見えてくる世界」と題された全体セッションの中で受賞記念講演が行われました。
矢橋研究員等は、SPring-8においてX線強度干渉計の開発に取り組んでおり、結晶分光器としては世界最高記録を持つ高分解能分光器の開発の成功を足掛かりに、放射光の空間コヒーレンス・プロファイルや光源サイズの精密測定を可能にしました。この干渉計の導入により、SPring-8蓄積リング電子ビームの垂直方向のエミッタンス測定、パルス長の測定、及び透過光学素子による空間コヒーレンス劣化の原因の解明にも成功しています。

物質構造科学研究機構 副所長)、井野明洋氏(同時受賞者、広島大学大学院理学研究科助手)
サイエンス・サテライト「SPring-8特別展」

平成16年1月9日(金)~25日(日)の15日間、大阪のサイエンス・サテライト(大阪市北区扇町2-1-7扇町キッズパークビル3F)で催された「SPring-8特別展」に出展協力しました。加速器原理体験模型やパネル展示をとおしてSPring-8の施設概要、放射光の概要、SPring-8での研究成果について紹介しました。
SPring-8で開催している施設公開(今年は4月24日開催予定)以外で、唯一の一般向けの展示会ですので、広く一般の方にSPring-8について知って頂く貴重な機会となりました。週末には多くの子供連れの家族が来場され、模型を取り囲み原理体験を楽しむ姿が見られました。
今後の行事予定
●3月10日 第29回理事会・第18回評議員会(神戸)
●3月17日~19日 nano tech 2004国際ナノテクノロジー総合展・技術会議に出展(東京国際展示場)
●4月24日 第12回SPring-8施設公開「何回見ても新鮮な驚き それはSPring-8!!」
今年は、蓄積リング棟実験ホール、マシン収納部、線型加速器棟、長尺ビームライン棟、ニュースバル、放射光普及棟などの施設公開や科学工作・実演コーナーの開設、そして2002年ノーベル物理学賞受賞者・小柴昌俊先生による科学講演会「やれば、できる。」などを予定しています。