SPring-8での研究成果例~地球科学~
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地球科学 | 高温・高圧構造解析 |
マントル最深部の主要構成物質が明らかに
レーザ-加熱式ダイヤモンドアンビル装置を用いた超高圧高温下におけるX線回折実験により、MgSiO3の「ポストペロフスカイト相」を世界ではじめて発見しました。この新鉱物はD"層と呼ばれるマントル最下部域の主要構成鉱物と考えられます。地震波の観測により、マントルの層構造は古くから知られていました(図1)。このような層構造は主要鉱物の相転移に伴い地震波速度が不連続に増加するために形成されていると考えられています。ところが、下部マントルからD"層への変化だけは例外的に化学組成の変化と長い間考えられてきました。下部マントルはMgSiO3に富むペロフスカイト相から主に構成されています。ペロフスカイト型構造から圧力によって誘起される相転移は実験的にも理論的にもまったく知られていませんでした。そこでMgSiO3ペロフスカイト相はマントルの底まで安定であると信じられてきたのです。私たちの実験の結果、地表から2700kmの深さに相当する125万気圧・2500ケルビン以上においてペロフスカイト相がより密度の大きなポストペロフスカイト相へ相転移することがわかりました(図2)。このことはD"層もやはり主要鉱物の相転移によって形成されていることを示しています。D"層は外核の液体鉄合金と直接接していることから、ポストペロフスカイト相は地球のマントルと中心核の間の熱的・化学的なやりとりを担うきわめて重要な鉱物です。今後そのさまざまな物性が測定されることによって、マントル深部や核に関する理解が急速に進むものと期待されます。
東京工業大学/海洋研究開発機構 廣瀬 敬
図1.マントルの層構造と各層の主要構成鉱物
図2.MgSiO3ポストペロフスカイト相の結晶構造
