大型放射光施設 SPring-8

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SPring-8での研究成果例~産業利用~

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 産業利用   XAFS 

自動車排気触媒用酸素貯蔵材料~究極のクリーン・カーを目指して~

 近年の地球規模での環境問題に対応するクリーンな自動車排ガスの実現 のためには、より高性能な排気浄化触媒の開発が急務となっています。ガ ソリン自動車のエンジンから排出される窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、 炭化水素(HC)などの有害ガスを同時に浄化するのが、三元触媒です。この 触媒には、触媒反応の活性点である貴金属(白金など)のほかに、助触媒 としてセリア-ジルコニア固溶体(CZ)が含まれています。エンジン排ガ スの酸素濃度の変動に応答して、CZが酸素を貯蔵・放出することにより、 触媒表面の酸素濃度が最適となり、三元触媒は高い浄化率を得ることがで きます。そのため、酸素貯蔵・放出能の向上は、自動車触媒における重要 な研究課題の一つとなっています。 触媒の酸素貯蔵・放出能は、CZの合成法の改良により大幅に向上するこ とが分かっていましたが、その性能向上のメカニズムについては理解され ていませんでした。放射光を用いたXAFSによる構造解析から、CZの原子 レベルにおける均一性が、酸素貯蔵・放出能に著しい影響を及ぼすことが 分かりました。これは、重元素であるCeのK-edge(40.5 keV) XAFS測 定により初めて解明されたことから、SPring-8の高輝度・高エネルギーX 線の特性を十分に発揮した結果と言えます。さらに、酸素貯蔵・放出の発 現メカニズムや劣化メカニズムも次々と解明され、これらの成果は大量酸 素貯蔵材料CZを含む三元触媒の実用化に大きく貢献しました。走れば走るほど空気が綺麗になる究極のクリーン・カーを目指して、放射光による原子レベルの高度な知見を用いた触媒設計が、既に走り始めて います。

(株)豊田中央研究所 長井康

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図1.酸素貯蔵・放出材料セリア-ジルコニア(CZ)の性能とその構造

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図2.ナノレベルで設計された大量酸素貯蔵材料CZを含む自動車排気用三元触媒
トヨタ自動車(株)の殆どのガソリン車に搭載されている。トヨタ自動車(株)との共同開発。