SPring-8での研究成果例~医学利用~
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医学利用 | イメージング |
癌治療への応用を目標とした基礎実験
初期の固形癌は、周辺に存在する成熟した血管からの拡散による酸素や栄養の供給により成長します。しかし、癌が数mm以上に成長するためには持続的な新生血管の誘導が必要となります(図1)。最先端の癌治療の現場では、この新生血管や血管新生関与因子を標的とする分子標的治療薬の開発が盛んに行われています。今回、我々は20-30μmのラット移植腫瘍新生血管をSPring-8にある微小血管撮影装置で生体下に観察し、さらに血管新生促進因子や血管新生阻害因子の投与、または放射線照射の処置を行い、それらが新生血管形成へ及ぼす影響や循環動態を形態学的に定量的に評価する実験系を確立しました。図2.に結果の一部を示します。腫瘍移植2週目には、腫瘍に関与する血管の異常拡張や途絶が腫瘍微小血管造影で認めました。また、移植3~4週目には、蛇行、網状構造や染み出し像などの特徴的な血管造影像を多く認めました。 今回の実験では、ラット由来の腫瘍を用いましたが、ヒト由来の癌細胞株も異種移植可能な実験系であり、ヒト由来の癌の新生血管形成過程や循環動態を形態学的に定量的に評価することで、更に発展をとげ、SPring-8微小血管撮影装置がヒトの癌化学療法、分子標的治療や放射線治療に新しい知見を提供するものと期待できます。医学利用イメージング
川崎医科大学 釋舍竜司
今城吉成
図1. 腫瘍の発育と腫瘍血管の経時的変化
図2. SPring-8 微小血管撮影装置を用い観察した経時的な腫瘍血管新生像
