光ディスク書き換え時の局所構造解析
問い合わせ番号
SOL-0000001248
ビームライン
BL01B1(XAFS I)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
---|---|
B. 試料詳細 | 金属・合金, 半導体, 結晶性固体, 非晶質、ガラス, 薄膜(無機) |
C. 手法 | 吸収、及びその二次過程 |
D. 手法の詳細 | XAFS, EXAFS, XANES |
E. 付加的測定条件 | 偏光(直線), 室温 |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 結合状態, 局所構造, 構造変化, 機能構造相関, 機能発現, 相転移 |
産業利用キーワード
階層1 | 記憶装置 |
---|---|
階層2 | CD-R、DVD |
階層3 | |
階層4 | 液体・非晶質構造, 原子間距離, 結晶構造, 局所構造, 電子状態 |
階層5 | XAFS |
分類
A80.12 半導体・電子材料, A80.30 無機材料, M40.10 XAFS
利用事例本文
本事例では光ディスクの記録材料Ge2Sb2Te5薄膜(膜 厚:20 nm)についてGe、Sb及びTe のK 吸収端におけるEXAFS測定を行い、局所構造解析を行いました。測定は、結晶(消去状態)とアモルファス(記録状態)について行いました。EXAFS法は、結晶及び非結晶の試料に対して、目的元素の周囲の局所構造(近接原子間の距離、配位数、原子種)を解析できる強力な手法です。図1は、データから抽出したEXAFS振動 をフーリエ変換して得られたTe原子の動径構造関数です。3元素のEXAFSの同時解析から、Ge原子が構造骨格の中で配置を変えることにより、光ディスクの高速書き換えが実現されるメカニズムが明らかになりました(図2)。
図1 結晶(消去状態)とアモルファス(記録状態)におけるTe原子周囲の動径構造関数
図2 結晶(左)とアモルファス(右)におけるGe原子周りの局所構造(赤:Ge原子)
[ A. V. Kolobov, P. Fons, A. I. Frenkel, A. L. Ankudinov, J. Tominaga, T. Uruga, Nature Materials 3, 703-708 (2004), Fig. 1(c), 5,
©2004 Nature Publishing Group ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
Nature Materials, 3, 703 (2004)
図番号
1(c), 5
測定手法
濃度の高い薄膜試料のXAFSスペクトルは、目的元素の吸収端付近で、試料からの二次電子(オージェ電子、光電子等)の量をX線エネルギーの関数として測定することで得られます。検出器として転換電子収量検出器が用いられ(転換電子収量XAFS法)、膜厚:0.1nm程度までの試料に対し適用できます。本事例の場合、計測時間は、1測定あたり1-2時間です。
図 転換電子収量法XAFSにおける試料配置
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
講習会プレゼン資料
測定準備に必要なおおよその時間
4 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
---|---|---|
XAFS測定装置 | XAFSスペクトルの計測 | 3.8-113 keV |
転換電子収量検出器 | 高濃度の薄膜試料のXAFS測定 | 膜厚:0.5nm以上 |
参考文献
文献名 |
---|
A. Kolobov et al., Nature Materials, 3, 703 (2004). |
関連する手法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
測定の難易度
中程度
データ解析の難易度
熟練が必要
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
1シフト以下