大型放射光施設 SPring-8

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BL12XU 概要

問い合わせ番号

INS-0000000567

ビームラインの概要

  BL12XUの利用目的は、固体の電子状態を10~1000meVの分解能のX線非弾性散乱により研究することです。利用可能な測定手法は、共鳴X線非弾性散乱(RIXS)と非共鳴X線非弾性散乱(NRIXS)です。現在、共鳴X線非弾性散乱(RIXS)は約1eVの分解能で、重い遷移金属(Co、Ni、Cu等)のK吸収端で実験を行う事が出来ます。非共鳴X線非弾性散乱(NRIXS)は9.886keVのSi(555)のback scatteringを用いて約17meVの分解能で実験を行う事が出来ます。(非共鳴X線非弾性散乱(NRIXS)の弱いシグナルを補うために、15個の分光器のシグナルをを同時に測定可能な多重分光器も備わっています。)これらの実験装置を用いて常温常圧は以外にも、様々な極限状態における物質内の電子状態を研究しています。このような目的の他に、ビームラインはX線分光学や高Q分解能散乱を行う事も予定しています。

研究分野

  • 高分解能非共鳴X線非弾性散乱(NRIXS)による固体内の素励起、準粒子の挙動, 電子相関効果等の研究
  • Low-Z物質(有機化合物、生体物質等)の吸収端(C,O等)における高分解能X線ラマン散乱による局所電子構造の研究
  • 高圧下での相転移の研究
  • 高分解能X線発光分光による物質の電子状態の研究
  • X線分光学の研究

キーワード

  • 分野
    X線非弾性散乱、X線ラマン散乱,、X線共鳴ラマン散乱、 電子励起、電子相関物質、圧力及び温度誘起の相転移、高分解能X線吸収分光、高分解能X線発光分光
  • 装置
    三軸回折装置, オイラー型ゴニオメーター、冷凍機、球面湾曲結晶分光器、多重分光装置、AMPTEK社製固体検出器、MCA、顕微鏡

光源と光学系

  光源はSPring-8標準の4.5mの真空封入アンジュレーター(磁場周期が32mm)を使用してます。このアンジュレーターにより、ギャップサイズ8.1~19.3mmで一次高調波4.5~14keV、三次高調波13.5~42keV、五次高調波22.5~70keVのビームが出力可能です。(最小到達可能なギャップは8.1mm(フロントエンドスリット縦0.5×横1.5mm2)となっています。)リングの蓄積電流が100mAの時、ビーム軸方向の輝度は9 keVで1.2 × 1020 phs/s/mrad2/mm2/0.1%BWです。

図1ビームライン概念図(上図) と光学パス(下図)

  ビームラインはサイドラインとメインラインで構成されています。(図1) サイドラインはsingle-bounceのダイヤモンド結晶分光器を用いて実験を行う予定です。(現在は稼動していません。)BraggまたはLaue配置のダイヤモンド(111)または(100)結晶を用いて8~32keVのエネルギー領域において約1eVの分解能に分光されたX線を用いて、X線回折またはその他の新しいX線分光法を行う予定です。メインラインはX線非弾性散乱実験を行うために整備されています。光学系はビームライン上流から、Si(111)二結晶分光器(DCM)、円柱状のコリメーターミラー(CM)、高分解能分光器(HRM)、位相子(PRP)、トロイダル集光ミラー(FM)の5つの主要な部分で構成されています。Si(111)二結晶分光器(DCM)は4.5 ∼ 30 keVのビームを分光可能です。 円柱状のコリメーターミラーはビームを縦方向にコリメートすると共に二つの異なる材質(Si:使用領域5 ∼ 12 keV、Pt:12 ∼ 30 keV)を用いる事により高次光を遮断するフィルターの役割も担っています。高分解能分光器(HRM)は二つの高精度同軸ゴニオメーターを備え、そこに様々なチャンネルカット結晶を組み合わせる事により10 ∼ 1000 meVの様々な分解能のビームを得ることが出来ます。現在のところ、対称に設計されたSi(333)(9.886keVで分解能50meV )チャンネルカット結晶とSi(400)(9.886keVで分解能153meV)チャンネルカット結晶が使用可能です。 HRMは目的の分解能、エネルギーにより様々な結晶、配置が設計可能です。HRMとPRP(現在不使用)を通過した光はPtコートされたトロイダル集光ミラー(FM)に送られ試料位置に約80 (縦) × 120 (横) µm2のスポットサイズとして集光される。試料位置でのDCMからの光の強度は1.2 × 1013 phs/sec/1.4 eV (リングの蓄積電流が100-mA :光のエネルギー9.886 keV) となっておりHRMを使用するとその分解能でスケールされます。

  • 試料位置のX線ビーム

    エネルギー領域

    4.5 ∼ 30 keV

    エネルギー分解能(ΔE/E)

    1.4 × 10-4 (DCM後)10-5 ∼ 10-7 (HRM後)(光学系に依存します。)

    ビーム強度

    ∼ 1010 photons/sec/meV below 26 keV(DCM後)(試料位置)

    ビームサイズ

    0.12(H) × 0.08(V)

実験ステーション

  我々のX線非弾性散乱分光装置(図2) は様々な実験条件で実験が行えるよう設計されています。装置は3-m 水平アームとその中心に様々な試料条件での実験が可能になるよう、オイラー型ゴニオメーターを備えた三軸回折系の装置となっています。 また、4Kまでの冷却能力を備えた冷凍機も整備されています。(図3)3-m水平アームは第一試料スリット、分光器、検出器、フライトパスを支えている。 球面湾曲した結晶分光結晶を用いて散乱された光を分光します。分光結晶は様々な半径の球面に対応可能とするためアームの方向に連続的に駆動可能です。また、水平アームにはより強いシグナルを得るため、15個の結晶分光器を備えた多重結晶分光装置が備わっています。 (図3)

図2. X線非弾性散乱分光装置の概念図(下)とその写真(上)

図3 冷凍機(上)と15-element multiple analyzer system (下)

  • 実験ステーションと試料環境
    • 3mアームを備えた三軸X線非弾性散乱装置
    • CRYOMECH社製4K PT407 パルスチューブ型冷凍機
    • 試料チェンバー

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連絡先

平岡 望(ヒラオカ ノゾム)
〒679-5148 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
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Phone : 0791-58-1867
FAX : 0791-58-1868
e-mail : hiraokaatspring8.or.jp

崔古鼎(ツエイ クーディン)
〒30076 新竹市科学工業園区新安路101
国家同歩輻射研究中心(NSRRC, Taiwan)
Phone : +886-(0)3-5780281 ext. 7105
e-mail : tsueiatnsrrc.org.tw

吉村 政人(ヨシムラ マサト)
〒679-5148 兵庫県佐用郡佐用町光都1丁目1-1
NSRRC、台湾ビームライン事務所
Phone : 0791-58-1867
FAX : 0791-58-1868
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Website

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最終変更日 2019-11-22 09:18