特定放射光施設ユーザー協同体(SpRUC)

ダイナミック/非平衡構造物質研究会
研究分野 物質基礎, 物質応用, 計測
関連するビームライン     
SPring-8 BL04B2, BL08W, BL01B1, BL14B2, BL02B2, BL13XU etc.
研究会連絡先(問い合わせ窓口) 尾原 幸治
所属:島根大学
Email: ohara (at) mat.shimane-u.ac.jp
研究会の概要、活動目標・目的

研究会の概要・目的
本研究会は、反応、相転移、結晶化、動作過程などに伴い時間的に変化する物質を対象とし、その構造的・物理的挙動に関する理解の深化を目指す研究者および学生会員によって構成される。特に、従来の静的・平均構造解析では捉えることが困難であった過渡状態や準安定状態、反応途中に現れる中間状態に着目し、放射光を用いた in situ/operando 計測によって得られる知見の共有と意見交換の場を提供する。これらの知見は学術的研究にとどまらず、産業界における実用材料開発や製造プロセス改良にも重要な示唆を与えるものである。とりわけ、非平衡状態における構造変化をその場で直接捉える新しい放射光計測は、従来手法では把握が困難であった機能発現機構の理解や不具合要因の特定に寄与する点で注目されている。本研究会では、こうした時間分解・その場計測を基盤として、基礎学術研究から応用研究、さらには産業利用に至るまでの幅広い視点から、材料開発上の課題に対する放射光計測の有効性と適用可能性について議論を行う。
本研究会では、非平衡・ダイナミック状態にある物質の構造変化を多角的に捉えるため、全散乱・二体分布関数(PDF)解析を中心とした局所構造評価に加え、X線回折(XRD)、X線吸収微細構造(XAFS)、その場計測手法や時間分解測定を組み合わせた研究事例や解析手法に関する知見を幅広く収集し、非平衡状態における物質のダイナミックな挙動を多角的に捉えるための課題整理および方法論に関する議論を行う。これらの議論を通じて、高輝度・高エネルギーX線を利用可能な第三世代放射光施設で蓄積されつつある知見を体系化するとともに、基礎物性、エネルギー材料、多孔質材料、触媒科学、電池・デバイス材料、環境材料などの幅広い分野における将来展開や次世代放射光光源を見据えた研究の方向性について検討する。

活動目標
研究会およびワークショップ等の開催
研究会やワークショップを定期的に開催し、非平衡・ダイナミック状態における物質研究に関する最新の研究成果について議論を行う。加えて、産業界からの招待講演やニーズ紹介セッションを設け、実用材料の開発現場における課題(劣化機構解明、プロセス最適化、不具合解析、品質管理高度化など)と先端放射光計測との接点を明確化する。
また、必要に応じて、機密性に配慮したクローズドディスカッションや産学マッチングセッションを開催し、共同研究創出を促進するとともに、in situ/operando 計測、全散乱・PDF解析、XRD、XAFS 等の計測・解析手法に関するノウハウの共有やユーザーの利用動向調査を行い、測定装置および解析環境の高度化に向けた提言を行う。

若手研究者・学生育成および教育活動への貢献
SPring-8 夏の学校および秋の学校への積極的な支援を行い、講義・実習内容の企画協力や講師派遣を通じて、非平衡物質研究および先端放射光計測手法に関する教育・人材育成に貢献する。特に、in situ/operando 計測や PDF 解析を中心とした実践的教育を通じて、次世代ユーザーの育成と裾野拡大を図る。加えて、企業研究者向けの基礎講習会や解析ハンズオンを実施し、産業界における放射光利用の裾野拡大を目指す。

ダイナミック/非平衡計測・分析手法の高度化
多様な計測手法を有するユーザーとの連携や共同研究を通じて、反応場・極端条件下計測、PDF と XRD・XAFS 等の複合・同時計測、時間分解測定技術の開発を推進し、非平衡状態における物質挙動を捉える先端計測技術の高度化を図る。またこれらの測定で生じる膨大なデータを処理・分析するソフトウェア系に関しても貢献する。

SPring-8-IIを見据えたサイエンス展開および提言
SPring-8-II を見据え、SpRUC内の関連研究会や関連学会、産業界と連携し、非平衡・ダイナミック物質研究における将来的なサイエンス展開やユーザーニーズを整理する。これに基づき、次世代光源を活用した先駆的研究の創出およびビームライン整備・再編に関する提言を行う。