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「SPRUC 2017 Young Scientist Award」の受賞者の決定について

 2017年度、募集しておりました「SPRUC 2017 Young Scientist Award(YSA)」には締切までに6件の応募がありSPRUC 2017 Young Scientist Award選考委員会において、厳正な審査をした結果、下記の2名の受賞者が決定しましたので公表します。

YSAは、SPring-8の利用法や解析手法の開発に顕著な成果を創出した若手研究者、あるいは測定手法や解析手法は確立された方法であったとしても、SPring-8の特徴を活用し測定対象の分野にとって顕著な成果を創出した若手研究者に与えられる賞である。

 このような観点から今回は6名の候補者の中から以下2名の受賞者を決定した。

「SPRUC 2017 Young Scientist Award」
受賞者
 坂巻 竜也 / 東北大学大学院理学研究科
受賞理由:坂巻竜也氏は、SPring-8の複数のビームラインにおける最先端の測定装置と高温高圧発生技術を組み合わせることで、地球内部物質の性質を解明し、より正確な地球内部構造の描像へ繋がる成果を挙げている。たとえば地球の中心に位置する核の主要成分である鉄に対し、X線非弾性散乱を用いて音速を決定することで地球の核組成の制約に成功した。また、高温高圧下におけるマグマの密度や粘度をX線吸収やラジオグラフィーを駆使することで測定し、地球内部でのマグマの駆動性を定量化することで、プレート底部にマグマが滞留するメカニズムを提案した。これらの結果は国際的に評価の高い学術誌に第一著者として発表されている。坂巻氏は、今後の活躍が期待される若手研究者であり、SPRUC 2017 Young Scientist Awardに相応しいと判断される。

 三輪 真嗣 / 大阪大学基礎工学研究科
受賞理由:電子の電荷とスピンを同時に制御することで新たな機能素子の創製を目指すスピントロニクスでは、ナノ強磁性金属の磁化方向を低消費電力で制御することが重要課題である。そこで電流印加を必要としない電圧磁気効果による磁化制御が期待されている。一方でこの強磁性金属における電圧磁気効果の物理機構解釈は混迷しており、巨大な効果を示す材料開発指針を立てられずにいた。三輪氏はエピタキシャル成長技術を駆使した高度なデバイス作製技術とSPring-8でのX線磁気円二色性分光を融合した独自研究を展開し、電圧磁気効果の物理機構解明に注力した。結果として、まずは電圧印加による界面強磁性原子の酸化還元反応と電圧磁気効果の関連性を明確にした。次に強磁性PT単原子層に対する磁気円二色性分光から、電圧による磁気双極子モーメント(TZ項)の誘起が電圧磁気効果を生むことを見出した。これまでは強磁性金属に電圧を印加すると軌道磁気モーメントが誘起されて電圧磁気効果の起源となると考えられていたため、この電圧誘起TZ項機構は物性研究における新概念の創出である。この新原理により巨大電圧磁気効果を示す材料設計指針が明確となった。


SPring-8ユーザー協同体
 会長 中川 敦史
SPRUC 2017 Young Scientist Award選考委員会
 委員長 雨宮 慶幸


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