SPring-8利用者懇談会研究会

研究会の名称

磁性分光研究会 / Magneto Spectroscopy

代表者、副代表者

代表者
氏名 水牧仁一朗 / Mizumaki Masaichiro
所属 高輝度光科学研究センター / JASRI
連絡先 mizumaki( at )spring8.or.jp

副代表者
氏名 安居院あかね / Akane Agui
所属 日本原子力研究開発機構 / JAEA
連絡先 agui( at )spring8.or.jp

研究会の活動目標・目的

 X線分光はこれまでさまざまな物質の電子状態・磁気状態を調べる強力な測定手段として威力を発揮してきた。特に、放射光光源の大強度、エネルギー可変、偏光可変という特長を利用することによって、X線分光法は元素選択性、軌道選択性という他の手段で不可能な測定が可能である。特にSPring-8では高輝度光を活かし、近年では偏光特性を活かし、磁気円二色性、磁気線二色性などの測定が精度よく行われるようになってきた。また、(共鳴)X線発光分光のような遷移確率が小さい二次光学過程に関する研究が大きく進展し、強相関電子系物質あるいは金属間化合物強磁性体などについての電子・スピン状態について有用な知見が得られるようになっている。一方で、電子状態・磁気状態に関する有益な知見を得るためには、得られたスペクトルに対して明快な解釈を与える理論が必要である。これまで軟X線領域ではアンダーソン不純物模型を用いて、硬X線領域ではバンド理論を中心としてスペクトルの解釈に成功してきた。特に、磁気円二色性スペクトルは磁気光学総和則が提案されて以来、X線分光の測定から定量的な議論が可能となり、磁性研究の手段として多くの研究成果を挙げている。以上のように、磁性材料に対する研究においてX線分光法は非常に有力な手段であるがより一層の発展のためには、実験的側面と理論的側面の緊密な連携が重要な鍵を握ると言える。現在、日本国内では、個々の研究グループ間での連携はあるものの組織的に機能しているとはいい難い。そこでSPring-8を中心に実験を行う研究者と理論計算を行う研究者との緊密な連携を目的として下記の研究分野に関連したX線領域において分光学を実験・理論の両面から研究を行う研究者・大学院生により組織・運営する。

(1) 磁気円二色性,線二色性に関する吸収過程およびそれに伴う二次光学過程の研究
(2) 極限環境(強磁場,高圧,極低温等)および特殊環境下での相転移現象等の研究
(3) 新磁性物質の開発および新磁性現象の研究
(4) 磁気分光に関連した新手法・新技術の開発

 本研究会は共通したサイエンスを有する研究者間において情報交換・研究協力を促進し、SPring-8の研究成果を質・量ともに向上させることを目的としている。また、分科内および分科外の研究会とも密接に連携し、X線分光を固体電子物性の理解のためのさらに強力な測定手段として構築することを目指す。さらには、個別および横断的な研究会を定期的に開催するとともに、メーリングリスト、ホームページ等の開設、運営を行い、研究会内だけでなく他の分野の研究者への情報発信を推進する。我々は、技術・装置開発に関する提言、外部資金獲得のための提案等、本研究会の活動を通して、磁性研究の手段としてSPring-8の果たす役割が飛躍的に増大することに貢献したい。


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