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BL13XU 多目的6軸回折計

問い合わせ番号

INS-0000001625

多軸回折計

  BL13XUの多目的6軸回折計(HUBER社製)は学術・産業界ユーザーのX線回折、散乱を用いた分析に対する多様なニーズに対応することを目的として整備されています。そのターゲットは、薄膜、表面、界面の構造解析をはじめ、残留歪み解析やin-situX線回折など、多岐に広がっております。
  基本的な構成は試料4軸(φ, χ, ω, ωz)、検出器2軸(2θ, 2θz)の6軸回折計で、検出器軸には2軸回転軸(ωa, 2θa)を付加することができます。χクレードルはC型のものを採用し測定時の死角を排除し-20°から160°の広い散乱角の範囲を確保することができます。サンプルステージに自動XYZステージまたは自動スイベルステージを持ち、精度のよい試料位置調整を行うことができるだけでなく、X線照射位置のマッピング測定が可能です。また、直径約200mm、厚み約50μmのカプトンドームを用いたHeガス置換型サンプルチャンバーを用意しており、試料周りの空気散乱によるバックグラウンドノイズ低減に効果的です。
  光学系には、入射側に1つ、受光側(検出器アーム上)に2つの自動4象限スリットを備えており、遠隔操作で入射ビームサイズ及び受光側のコリメーションを調整することが可能です。アナライザー用のステージ(ωa軸, 2θa軸)に設置するアナライザー結晶は、Si(111)、Ge(111)、LiF(002)を用意しています。またこのステージ上には、ソーラースリットを取り付けることができ、薄膜、表面に対する微小角入射X線散乱測定時の試料表面で広がった照射域からの散乱信号の検出効率を向上することが可能です。またX線反射率測定用のアッテネータ自動切換機構も装備しており、~1010程度のダイナミックレンジのX線反射率スペクトル測定が可能です。
   検出器としては0次元検出器(LaBr3、NaIシンチレーションカウンター)、1次元検出器(6連装MYTHEN)、2次元検出器(PILATUS(Si) 100K, 300K, 2M)を整備しています。MYTHENやPILATUSを用いることで時分割X線回折測定など、多様な実験を行うことも可能です。
   制御プログラムはCerified Scientific Software社製のSPECを採用しています。コマンドライン型のプログラムで、マクロ作成機能を使用することにより複数の測定を組み合わせて自動測定を行うことが可能です。またこの機能を活用した自動試料位置調整機能による迅速な試料交換も可能です。

◆装置の特徴

回折計
本回折計はHUBER社製の6軸回折計であり、試料周りの4軸(φ、&kai;、ω、ωz)、検出器軸の3軸(2θ、2θz、2θ2)から構成されています。アタッチメントとして試料周辺のxs、ys、zs、rxs、rys軸や、検出器軸のアナライザー結晶を取付けるためのtha、ttha軸を設置することもできます。

検出器
実験の目的に応じて下記の検出器から選択することができます。0次元検出器と2次元検出器PILATUS 300Kの両方を検出器軸に設置することもできます。
・0次元検出器:NaIシンチレーション検出器(応用光研)
        LaBr3シンチレーション検出器(FMB oxford)
・1次元検出器:6連装MYTHEN(dectris)
・2次元検出器:PILATUS 100K、300K、2M(dectris)

制御ソフトウェア
ビームライン・回折計の制御にはSPEC(Certified Scientific Software社)を用いています。

X線エネルギー
SPring-8標準アンジュレータ―と標準2結晶分光器(Si(111 or 311)面)を使用しています。使用できるX線エネルギーは5.0~72 keVの範囲です。

ビームサイズ
ビームサイズは測定目的に応じて変化させます。
最大ビームサイズは横1.0 ㎜×縦0.7 ㎜程度
スリット成形による最小ビームサイズ:30 µm×30 µm程度
フレネルゾーンプレートによる最小ビームサイズ:3 µm×10 µm程度

ビーム強度
12.4 keV、ビームサイズ縦30 µm×横400 µm(スリット成形)の条件で約5.0 × 1011 photons/sec

その他
本多軸回折計とほぼ同じ仕様の多軸回折計がBL19B2の第2ハッチに設置されており、装置アクセサリーや制御環境の共通化を図っています。実験の目的に応じて挿入光源と偏向電磁石光源(BL19B2)を選択することができます。

◆装置アクセサリー

試料位置合わせ用自動ステージ(多軸回折計phi軸に取り付け)
 zs軸、xs軸、ys軸、rxs軸、rys軸
 多軸回折計phi軸にzs軸を取付け、このzs軸上に実験に応じて各種自動ステージを設置します。

試料環境装置(BL保有機器)
 ・試料加熱装置(反射配置):アントンパール社DHS1100(室温から1100 °C)
 ・試料冷却加熱装置(反射配置):アントンパール社DCS500(-180 °Cから500 °C)
 ・試料加熱装置(反射配置):ADC社XRD1500(400 °Cから1300 °C)
 ・引張り試験機:最大引張り荷重2 KN、試料サイズ長さ約3 cm×幅約1 cm×厚み約0.5 ㎜
 ・水蒸気発生装置 :RIGAKU社HUM-01
 ・赤外線加熱装置 :サーモ理工社
 ・大気非開放セル、ガス雰囲気セル :自作

ユーザー持ち込みによるその場観察実験も多数実施されています。装置持ち込みを検討されている方は課題申請前に担当者までご連絡ください。

検出器
 ・0次元検出器:NaIシンチレーション検出器(応用光研)
          LaBr3シンチレーション検出器(FMB oxford)
 ・1次元検出器:6連装MYTHEN(dectris)
 ・2次元検出器:PILATUS 100K (dectris)
         PILATUS 300K (dectris)
         PILATUS 2M (dectris)

検出器軸光学系(0次元検出器使用時)
 ・ダブルスリット
 ・ソーラースリット
 ・アナライザー結晶(Si(111)、Ge(111)、LiF(002))

集光素子
 ・ゾーンプレート
 ・屈折レンズ

◆問い合わせ先

小金澤 智之(koganeza@spring8.or.jp)

最終変更日 2022-05-06 15:30
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