大型放射光施設 SPring-8

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挿入光源チーム

ミッション

挿入光源とは、周期的磁場を発生することにより電子に蛇行運動させ、各周期から発生するシンクロトロン放射光が重なり合うことにより輝度を増強するための装置であり、隣り合った偏向磁石間の直線部に設置される。特にアンジュレータと呼ばれる挿入光源は、発生する光のサイズ・角度発散が小さいため、 SPring-8のような質の高い(=エミッタンスが小さい)電子ビームを有する放射光施設において特に威力を発揮する。各ビームラインに最適な挿入光源の設計、建設、維持、管理を担うとともに、新しい光源の開発を挿入光源チームでは積極的に推進している。

活動内容

これまでSPring-8に設置された挿入光源はいずれも特色のあるものである。以下に主なものの概要を示す。

真空封止アンジュレータ(BL09XU,BL10XU他)

通常は真空槽を挟んで上下に設置され る磁石列を真空槽の中に設置することにより、より狭いギャップ(上下磁石列間の距離)を実現できるようにしたもの。これにより周期長40mm以下の短周期 アンジュレータが実用化された。真空封止アンジュレータはもともとKEK(高エネルギー加速器研究機構)で初めて開発されたが、SPring-8において 規格化・標準化のためにさまざまな改良が施され、現在では世界各国の放射光施設に広まっている。

ヘリカルアンジュレータ(BL25SU)

ヘ リカルアンジュレータとは、螺旋状の磁場により電子に螺旋運動を描かせ、左右の円偏光を得るための挿入光源である。SPring-8では上下各3列の磁石 列からなるヘリカルアンジュレータ用磁気回路を考案・開発し、BL25SUに設置した。これにより水平方向の磁場一様性が改善されるとともに、ギャップ変 更による円偏光度の低下をほとんど完全に抑制することが可能となった。また、BL25SUでは同アンジュレータを直列に2台並べて設置し、5台のキッカー マグネットによりバンプ軌道を切り替えることにより、左右円偏光の高速スイッチングが可能となった。

8の字アンジュレータ(BL24XU,BL27SU)

電子に8の字状の軌道を描かせることにより、軸上の熱負荷を軽減するための挿入光源。また、垂直・水平の両偏光が同時にえら得るという特色も備えている。

このほか、PAL(Pohang Accelerator Laboratory:韓国)と協同で、電子ビーム照射による永久磁石の減磁試験を行い、減磁の機構や耐放射線特性の改善方法について研究している。