大型放射光施設 SPring-8

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化学

共用及び専用ビームラインユーザー向けの手続き方法など

化学物質の使用

化学物質の使用にあたって
実験で使用する化学物質の中には、有害性や危険性のあるものが少なくありません。使用にあたっては、健康障害、災害、紛失・盗難に十分注意を払うとともに、環境への影響も十分に考慮してください。
また、課題の責任者は、課題で取扱う化学物質を責任を持って管理するとともに、取扱者に対し、適切な取扱いを指導してください。
火災による被害を最小限に抑えるために可燃物の持ち込みは必要最小限にするようにお願いします。

実験ホール内は、温度や湿度の環境を優先に還流する設計がされており、化学実験を行う環境が十分とはいえません。また、1本のビームラインでは少量の持込であっても50本ほどあるビームライン全てで実験を行えば大量の有機溶剤や特定化学物質が飛散し、周囲の実験者の作業環境の悪化が予想されます。そのような実験を実施される場合にはドラフトを設置してある場所で作業してください。

(1)取扱うことができる化学物質
SPring-8/SACLAでは、規制はありませんが、事前に行政に対して許可申請が必要なものについては許可や届出に時間を要するので事前にJASRI利用推進部にご相談ください。

A)行政に対して申請が必要なもの *要事前相談

事前に相談が必要な物品例:麻薬、覚せい剤、覚せい剤原料、向精神薬または特定毒物の取扱い等

 日本国内での規制対象物品の一例

(i)化学兵器の禁止および特定物質の規制等に関する法律に定める特定物質
(ii)麻薬および向精神薬取締法に定める麻薬および向精神薬
(iii)覚醒剤取締法に定める覚醒剤およびその原料
(iv)大麻取締法に定める大麻草およびその製品
(v)あへん法に定めるあへん、けし、けしがら
(vi)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の指定薬物
(vii)毒物および劇物取締法に定める特定毒物 →手続き方法は 近畿厚生局 健康福祉部 薬事監視指導課 日本語 / English
(ⅷ)労働安全衛生法に定める製造禁止物質

 日本国外からの持込に関する規制対象物品の一例

(i)輸入禁止品 →詳しくは 日本税関
(ii)輸入規制品 →詳しくは 日本税関

cf.)日本法令外国語訳データベースシステム/Japanese law Translation


B)輸送方法に注意を要する物品の例:消防法危険物、毒劇物など

注意が必要な物品の一例

(i)航空機への搭載に規制のあるもの:医薬品、火薬類、可燃性物質、酸化性物質など →詳しくは 国土交通省 ANA Cargo IATA
(ii)公共交通機関への持込に規制のあるもの:危険品(可燃性液体、高圧ガス、可燃性固体、火薬類、揮散性毒物、農薬)など→詳しくは JR西日本
(iii)郵送禁止物品のため送付できないもの:爆発物・危険物、麻薬及び向精神薬など →詳しくは 日本郵便
(iv)国外からの医薬品、毒劇物、毒劇薬の持込みなど →詳しくは 近畿厚生局
(v)陸上輸送  →詳しくは 内閣府令


(2)対象となる実験実施場所

実験ホール内は、粉じん、特定化学物質や有機溶剤など飛散に注意が必要な実験を行う場合には、ドラフトを設置しているので事前に担当者にご相談ください。
● 化学試料準備室 使用申し込みなど詳細

● BL02及びBL13は各BL担当者へ相談

(3)対象となる保管場所

毒物・劇物などの持ち込みには、保管管理が必要になります。実験ホール内には、保管庫を準備していますので必要に応じて鍵の貸し出しを行っています。BL担当者へ連絡し鍵を借りて保管管理を行ってください。

 事前手続き(対象:実験責任者)

(1) 課題申請の際の化学安全に関する記載について
使用する全ての化学物質について、その性質・危険性や安全対策等を、SDS(MSDS)を参照して下図のように記入をお願いします。さらに2016B期からは、リスクアセスメントの結果も記載していただきます。

下記画像を拡大してご覧になりたい場合にはこちら(UIサイト)


(2) 危険性のある化学物質の法令上の分類およびそれらの各種情報を知る
以下の通り、(独)製品評価技術基盤機構のサイトから、化学物質の法令上の分類とGHS区分など安全に関する各種情報を知ることができます。また厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」からはSDSを参照できます。

(2.1) 化学物質を法令上の規制に従って分類する *注リンク先は外部サイトになります
 毒物及び劇物
 特定化学物質
 有機溶剤
 危険物(可燃性・爆発性)
 その他(不明な場合の検索

(2.2) 物質名等から検索する
 物質名やCAS番号等から法規上の分類を知る
 物質名やCAS番号等からSDSを参照する

(3) 化学物質のリスクアセスメント
化学物質のリスクアセスメントとは、化学物質の人体への危険性を使用状況に応じて評価し、その危険性を低減させる対策を検討することです。法令により2016年6月1日から指定する化学物質を扱う全ての事業者に義務化されます。
SPring-8での利用実験において使用する化学物質もリスクアセスメントの対象となり、実験を行う当事者自身がリスクアセスメントを行う必要が有ります。
実験責任者には、課題申請の際に化学試料のリスクアセスメント結果を記入していただき、JASRIは安全審査においてそれらの結果を参考にします。
もし所属機関でリスクアセスメントが行われていない場合は、いずれの手法でも構いませんが、簡単に評価できる方法として、以下のCREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)を推奨いたします。
職場の安全サイト(厚生労働省) リスクアセスメント実施支援システム
また、リスクアセスメントの結果、安全対策が必要な場合は、安全対策欄に対策を記載していただきます。

詳しくは、UIサイトの以下のページをご覧ください。
化学物質リスクアセスメントについて

 実験開始前〜実験終了までの手続き

(1)化学物質の取り扱い

「表示」に関するお願い
1) 麻薬および向精神薬の保管容器には、下記の表示をしてください。
麻薬および向精神薬
2)医薬用外毒物(特定毒物含む)・医薬用外劇物
a)医薬用外毒物は、《医薬用外毒物》と表示のある保管庫に保管をお願いします。
医薬用外毒物
b)医薬用外劇物のは、《医薬用外劇物》と表示のある保管庫に保管をお願いします。
医薬用外劇物
c)毒物および劇物の保管容器には、下記の表示をしてください。
医用外毒物(赤地に白文字で医用外毒物) 医用外劇物(白地に赤文字で医用外劇物)

3) 医薬品
毒薬または劇薬は、他の薬品と区別して保管し、その保管庫は常時施錠してください。また毒薬および劇薬の保管容器には、下記の表示をしてください。
毒薬および劇薬
「保管」に関するお願い

化学物質は、その特性に応じて関係法令によって規制されています。それらの関係法令に併せて、SPring-8/SACLAにおけるルールを遵守することも必要となりますので、以下に記す要領で管理を行ってください。

1) 麻薬・覚せい剤・覚せい剤原料・向精神薬

麻薬、覚せい剤、覚せい剤原料および向精神薬の保管は、行政に申請された所定の保管庫で他の薬品と区別して行い、その保管庫は常時施錠してください。

2) 医薬用外毒物(特定毒物含む)・医薬用外劇物

a)医薬用外毒物の保管は、常時施錠してください
また、使用量・保管量を記録してください。なお、特定毒物は行政に申請された所定の保管庫で保管してください。

b)医薬用外劇物の保管は、常時施錠してください。また、使用量・保管量を記録してください。

3) 医薬品

毒薬または劇薬は、他の薬品と区別して保管し、その保管庫は常時施錠してください。

4) 危険物

揮発性の高い有機溶剤などの引火性物質および爆発性物質は、特に火災を起こし易く、また火災の場合に被害を拡大する可能性が大きいので、その取扱いには十分注意しなければなりません。また、ガロンビン等のガラス製容器を床に直置きしないでください。足や椅子などをぶつけて破損すると、内容物が床面に広がり非常に危険な状態となりますので、バットやコンテナを敷く等の安全措置を講じてください。

5) その他の薬品

上記以外の薬品については法令に従うとともに、性状に応じて適切に保管・管理してください。

化学物質の取扱い

実験で使用される種々の化学物質(薬品)の中には、有害性や危険性のあるものが少なくありません。したがって、ドラフトチャンバー内で使用するなど十分な注意を払う必要があります。また、化学物質の特性をあらかじめ熟知したうえで実験を行ってくだい。
化学物質による健康障害や事故は、自分自身はもとより、他人をも巻き込む可能性が高いので、化学物質の取扱い全般に渡って事故を起こさぬように、一人ひとりが自覚と責任を持って行動することが必要です。

化学物質を取扱う場合は、特に以下の点に注意してください。
1) 初心者は熟練した指導者の指示に従い、細心の注意を払って実験を行う。熟練した者であっても、万全の注意を払って実験行う。

2) 実験は原則1人で行わない。

3) 実験中はその場を離れない。

4) 実験に対する知識を十分に得てから、使用する薬品、器具、身支度を点検して実験を始める。

a) SDS(MSDS)等を活用し、発火性・引火性物質、爆発性物質、有毒性物質などの危険な化合物の知識を十分に得る。

b) 火災の危険性があるときは、適切な消火器をあらかじめ用意し、消火器の使用法を必ず確認しておく。

c) 露出の多い衣服、サンダルなどは着用しない。

d) 実験中は、必ずゴーグル(保護メガネ)、実験衣(作業着等)を着用する。コンタクトレンズを装着して実験を行う際は、保護メガネではなく、ゴーグルを着用すること。

e) 必要に応じて、手袋、防護面、防毒マスクなどを着用する。

f) 実験装置が適切に組み立てられていることを確認する。

g) ガラス器具、ガラス細工による怪我が多いので、「ガラスは割れると凶器になる」ということを忘れないで取り扱う。ひび、傷などのあるものは使用しないこと。

h) 有害なもの、悪臭のある薬品など、健康障害を引き起こすような物質はドラフトチャンバー内で扱い、薬品は使用後、回収する。実験ホール(実験ハッチ内含む)でそれらの物質を取扱う際は、周囲に拡散しないよう適切な措置を講じる。また実験ハッチ内においては、ビーム照射等により万が一漏出が生じた場合においても周囲に拡散しないよう必要な措置を講じる。

i) 発火、小爆発の恐れのある物質を取り扱う場合は、発火や小爆発に耐えられる材質や構造を考慮して、必要な防護措置(ドラフト、保護面または防護盾の使用など)を講じる。

j) 禁水性物質・自然発火性物質の取扱い・保管には十分注意し、必要な安全対策を講じる。可能であれば他物質等への代替等を行って、危険因子の低減に努める。

k) やむを得ず終夜実験を行う場合、または危険物等を一時的に保管する場合は、必要な安全措置を講じる。

l) 廃液および廃棄物は適切に分別して冷暗所に保管するとともに、廃液は冷暗所に保管する、容器の下にバットを敷く等の性状に応じて必要な安全措置を講じる。(例:廃液の容器の下にバットを敷く)

5) 不慮の事故、地震などの発生に備え、実験場所をよく整頓しておく。

a) 実験台、ドラフト内および実験ホール(実験ハッチ内含む)には、不要な薬品・器具・装置などは置かない。

b) 薬品は種類別に分類して整頓し、転倒防止策を講じる。

c) 共用で使用するものについては、他人の迷惑にならないようにも整理整頓を心掛ける。

6) 環境汚染防止のための対策を行う。

a) 人の健康や生態系に支障を及ぼすおそれのある化学物質(例えば、PRTR法指定化学物質、労働安全衛生法で規定される有機溶剤・特定化学物質等)は、ドラフト内で扱う。実験ホール等において少量を一時的に使用する場合には換気に十分注意する。また、実験ハッチ内においては、ビーム照射等により万が一漏出が生じた場合においても周囲に拡散しないよう適切な封じ込め措置を講じる。

b) ドラフト使用前は、動作の状況や破損の有無など簡単な点検を行う。

c) 廃液は専用の容器に回収し、2次洗浄水までは流しに流さない。

d) ロータリーエバポレーターを使用する際は、冷水循環装置やダイヤフラムポンプなどを使用し、水流式アスピレーターは絶対に用いない。水流アスピレーターを使用すると有機溶剤等の揮発性の高い物質は排水に混入する可能性がある。

化学物質の取扱いの終了

 化学物質の取扱い終了時には以下の点に注意してください。
1) 実験の後始末はきちんと行うこと。
使用したガス・水道・電気は確実に止め、残った薬品などを所定の位置に戻してください。使用薬品・器具などを放置することは事故のもとになります。

2) 真空配管、ガス配管のある実験室では、使用後は必ず元栓を閉じること。

3)持ち込んだ試薬および実験に伴って発生した廃棄物等は各自持ち帰ること。

 事故が発生したとき

1)軽微な異常事象が発生した場合
現場での対処が可能と思われる程度の異常事象が発生した場合は、以下の対応を行ってください。
・    状況に応じて、事象を拡大させないために可能な措置を行ってください。ただし無理は禁物です。
・    その際、決して一人で処置しようとせず、必ず応援を呼んでください。
・    BL当番(PHS:3899)に連絡してください。

2)緊急事態が発生した場合
化学薬品等による人体への傷害あるいは実験施設の著しい汚染や損傷等の発生またはそれらのおそれのある事態を発見した場合は、直ちに、以下の対応を行ってください。
・    危険が拡大する恐れがある場合は避難を優先してください。その際、可能な限り電源・ガスなどを切ってください。
・    BL当番(PHS:3899)に連絡してください。
・    救急車や消防車が必要となる場合は、守衛所(緊急電話119または外線0791-58-0828)に連絡しその旨伝えて下さい。守衛所が緊急車両の誘導等を行うとともに、その後の所内外への必要な連絡を行います。
3) 応急手当
薬品が目に入ったり、皮膚に付着したりしたときは、水道水で15分以上洗い流します。
薬品蒸気を吸入した場合は、直ちに屋外に行き、新鮮な空気を吸ってください。
蓄積リング棟大扉D3入口付近にある健康管理室(平日9:00~17:30)で、看護師(内線3299または999)が怪我の対応をします。また、蓄積リング棟大扉付近およびSACLA実験研究棟階段下付近にも救急箱を設置してあるので、応急処置の際にご利用ください。
救急車が必要な場合は、守衛所(緊急電話119または外線0791-58-0828)に電話をして呼んでもらってください。救急車到着時の対応のため、負傷者のいる建物、室、状況を守衛所に伝えてください。

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