大型放射光施設 SPring-8

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BL02B2 大型デバイシェラーカメラ

問い合わせ番号

INS-0000000410

 BL02B2の実験ハッチには、大型デバイシェラーカメラが設置されており、検出器として二次元検出器のイメージングプレート(IP)を採用しています[1, 2](図1、表1)。IPのデータは、実験ハッチ外にあるオフラインのIPリーダにより読み取ります。また、IPの手前に10 mmのスリットが入ったマスクがあり、1枚の IP上に最大15セットのデータが測定出来るようになっています(図2)。

 試料の温度は、30 Kから1,100 Kまでの広い範囲で変える事が可能です。低温・高温窒素吹付装置は常設されており、試料温度を90 K ~ 1,073 Kまで連続的に制御することが可能です(図3)。なお、低温・高温窒素吹付装置のステージは電動化されており、低温・高温の切り替え時の装置の取り付け・取り外し作業は不要です。これらの温度制御システムは、LabVIEWにより作成した測定プログラムと組み合わせることにより、自動測定による温度変化の実験が可能です。また、90 K以下に冷却する場合は、Heガス吹付装置を用いて試料を冷却し測定します(図3)。

 大型デバイシェラーカメラと第三世代の高エネルギー放射光を最大限に利用することによって、鉛のような重元素を含む化合物においても、高い統計精度と高角度分解能の粉末回折データが数十秒から数十分程度で測定できるようになっています(図4[3])。以上から、本ビームラインは、格子定数の測定から極限条件下での電子密度分布決定まで、非常に幅広い分野の構造研究を網羅できるようになっています。

    表1. 回折計の仕様

    大型デバイシェラーカメラ
    IP検出器 サイズ: 400(縦)× 200 (横) mm
    ピクセルサイズ:25μm ~ 100μm
      カメラ半径 286.48 mm
      測定範囲 2θ = 1 ~ 75°, 0.005~0.02°/step
    コリメータサイズ 0.1(縦) × 0.1(横) mm2 ∼ 0.7(縦) × 3.0(横) mm2

     
    図1.実験ハッチに設置されているデバイシェラー型粉末回折計

    図1. 実験ハッチに設置されているデバイシェラー型粉末回折計

    図2. 複数の回折データを1枚のIP上に記録するシステム

    図2. 複数の回折データを1枚のIP上に記録するシステム

    図3.  温度変化用の各種吹付装置

    図3.  温度変化用の各種吹付装置

    図4. PbTiO3における(a) 800 K (立方晶相)と(b) 300 K (正方晶相)のリートベルト解析の結果

    図4. PbTiO3における(a) 800 K (立方晶相)と(b) 300 K (正方晶相)のリートベルト解析の結果[3]

     

    参考文献

    1. Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 467-468 (2001) 1045.
    2. Advance in X-ray Analysis, 45 (2002) 377.
    3. Physical Review Letters, 87 (2001) 217601.
最終変更日 2021-10-06 10:48