高圧・高温条件におけるシリカのパイライト構造への相転移
問い合わせ番号
SOL-0000001318
ビームライン
BL10XU(高圧構造物性)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
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B. 試料詳細 | 絶縁体・セラミックス, 結晶, 鉱物・岩石 |
C. 手法 | X線回折 |
D. 手法の詳細 | 粉末結晶構造解析 |
E. 付加的測定条件 | マイクロビーム(>10μm), 高圧(DAC), 高温(>>500度) |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 結晶構造, 相転移 |
産業利用キーワード
階層1 | 半導体, 化学製品, 工業材料 |
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階層2 | シリコン系半導体, 触媒, ガラス |
階層3 | ゲート絶縁膜, 層間絶縁膜, 容量膜 |
階層4 | 密度, 結晶構造, 結晶弾性率 |
階層5 | 回折 |
分類
A80.30 無機材料, M10.20 粉末結晶回折
利用事例本文
ダイヤモンドアンヴィルセル(DAC)とレーザー加熱法を利用したX線回折法はその場観察で高圧・高温下での物質状態を調べることのできる強力な手法です。この手法を用いることで、地殻・マントル鉱物及び核を構成する物質の地球内部環境における相状態・結晶構造や密度、相転移等を観測することができます。
図に示すのは、約270GPa・1800Kの環境においたシリカ(SiO2)について測定した結果、新しく発見されたパイライト型シリカの結晶構造とその相図 です。この結果から、Si原子がパイライト型構造をとることによって6+2配位に変化していること、またパイライト型シリカは地球マントル内部には存在せず、むしろ天王星や海王星の核の構成要素である可能性がわかりました(Y. Kuwayama et al., Science, 309(2005)923)。
図 パイライト型シリカの結晶構造と相図
[ Y. Kuwayama, K. Hirose, N. Sata and Y. Ohishi, Science 309, 923-925 (2005), Fig. 3, 4,
©2005 American Association for the Advancement of Science ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
Science, 309(2005)923
図番号
3,4
測定手法
DAC(ダイヤモンドアンヴィルセル)+レーザー加熱システムは、試料サイズ数十ミクロンの領域で高圧発生させ、集光されたレーザー光(波長1ミクロン程度)を照射することによって高圧・高温条件を実現する装置です。さらにこの高圧高温発生領域に放射光の集光されたX線を照射して回折像を観察することによって、その環境下での物質状態(結晶構造、相状態)をその場観測を行います。DACでは約300GPa(1GPa≒1万気圧)の圧力発生、レーザー加熱法によっては約4000Kの温度を発生させることができます。
図 システム構成と写真
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
JAMSTEC Nagayoshi Sata
測定準備に必要なおおよその時間
3 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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レーザー加熱装置 | 高圧・高温状態の実現 | 300GPa、4000K |
参考文献
文献名 |
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廣瀬敬、高圧力の科学と技術、14(2004)255 |
関連する手法
微小結晶X線回折、電子線回折、大型プレス法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
同種実験は本ビームラインの課題の30%以上を占めている
最近2年以内に導入した装置を使った事例
測定の難易度
熟練が必要
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
4~9シフト