大型放射光施設 SPring-8

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パーソナルツール
 

固体重水素の高圧下での結晶構造測定

  • Spring8ならでは
  • 初心者向け

問い合わせ番号

SOL-0000001322

ビームライン

BL10XU(高圧構造物性)

学術利用キーワード

A. 試料 無機材料
B. 試料詳細 結晶, 分子 (中性)
C. 手法 X線回折
D. 手法の詳細 粉末結晶構造解析
E. 付加的測定条件 マイクロビーム(>10μm), 高圧(DAC), 低温(〜液体窒素)
F. エネルギー領域 X線(4~40 keV)
G. 目的・欲しい情報 結晶構造, 構造変化

産業利用キーワード

階層1 電池, 工業材料
階層2 燃料電池
階層3
階層4 密度, 結晶構造, 結晶弾性率
階層5 回折

分類

A80.42 エネルギー・資源, M10.20 粉末結晶回折

利用事例本文

本事例は固体重水素(D2)について高圧X線回折実験を行い、結晶格子定数の圧力変化を測定したものです。もっとも軽い元素である水素(重水素)に対してでも、BL10XUの高輝度X線を使用すれば、その高圧下での結晶構造解析が可能です。測定は固体重水素の安定化のために84Kの低温条件で行われました。図に示すような高圧下で固体重水素のX線回折像が得られ、その解析から固体重水素の圧縮曲線と体積弾性率が求められました(H. Kawamura et al., Solid State Comunication, 119(2001)29)。

 

図 固体重水素からのX線回折像(94GPa,84K)と圧縮曲線

[ H. Kawamura, Y. Akahama,S. Umemoto, K. Takemura, Y. Ohishi and O. Shimomura, Solid State Communication 119, 29-32 (2001), Fig. 3, 4,
©2001 Elsevier Science Publisher ]

 

画像ファイルの出典

原著論文/解説記事

誌名

Solid State Comunication, 119(2001)29

図番号

3,4

測定手法

ダイヤモンドアンヴィルセル(DAC)は、10-3mm以下の試料を金属ガスケットと共に対向するダイヤモンドで挟み込んで強く押し込むことによって高圧発生させる装置です。ダイヤモンドがX線(15keV以上)に対してほぼ透明なため、図に示すようにダイヤモンドを透過させる形で、超高圧下での試料に対するその場X線回折測定が可能です。しかし、発生圧力を高くすればするほど試料体積が微小になるため、高輝度のX線源の使用が不可欠となります。BL10XUでは高輝度の放射光X線をさらに集光した結果、超高圧条件や軽元素、さらに温度環境を変化させてのX線回折実験が可能になりました。また、高精度の強度解析が可能となり、高圧下に置かれた試料の精密な結晶構造解析が行われるようになりました。

 
DAC.gif
 

図 ダイヤモンドアンヴィルセル(DAC)の構造と各種DACの写真

 

画像ファイルの出典

BL評価プレゼン資料

測定準備に必要なおおよその時間

1 シフト

測定装置

装置名 目的 性能
DAC-X線回折装置 高圧下でのX線回折測定 <300GPaでのX線回折測定
DAC用クライオスタット 低温・高圧環境 100GPa, 10K

参考文献

関連する手法

粉末X線回折、単結晶X線回折、中性子回折

アンケート

SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
同種実験は本ビームラインの課題の30%以上を占めている

測定の難易度

中程度

データ解析の難易度

初心者でもOK

図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数

4~9シフト

最終変更日 2006-03-30 11:15