Sm ドープされたフラーレンの圧力誘起構造相転移
問い合わせ番号
SOL-0000001326
ビームライン
BL10XU(高圧構造物性)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
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B. 試料詳細 | 超伝導体, 誘電体・強誘電体 |
C. 手法 | X線回折 |
D. 手法の詳細 | 粉末結晶構造解析 |
E. 付加的測定条件 | 高圧(DAC), 室温 |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 構造解析, 電荷密度, 相転移 |
産業利用キーワード
階層1 | 半導体, その他 |
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階層2 | |
階層3 | |
階層4 | 結晶構造, 電子状態, 価数 |
階層5 | 回折 |
分類
M10.20 粉末結晶回折
利用事例本文
本事例ではSmドープされたC70フラーレンについて高圧X線回折実験を行い、圧力誘起構造相転移に伴うSm原子とフラーレンケージの相関関係を観測することができました。DACを用いた高圧X線回折実験でも、ダイヤモンド窓からの制約を受けるものの、試料径等に注意を払って慎重な粉末X線回折測定を行い正確なデータ補正を行うことによって、MEM/Rietveld法を利用した電子密度の解析が可能となります。図に示すように、三次元的なポリマー化を示唆する上で、フラーレン結晶の内でのSm原子座標の変化に連動した電子密度分布の変化等、物性発現との対応が明らかになりました(D. H. Chi et al., PRB, 67(2003)094101)。
図 Sm2.78C70に関する電子密度分布の圧力変化と構造模型
[ H.-C. Dam, Y. Iwasa, K. Uehara, T. Takenobu, T. Ito, T. Mitani, E. Nishibori, M. Takata, M. Sakata, Y. Ohishi, K. Kato and Y. Kubozono, Physical Review B 67, 094101 (2003), Fig. 9,
©2003 American Physical Society ]
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
東北大学 岩佐義弘氏提供
測定手法
ダイヤモンドアンヴィルセル(DAC)は、10-3mm以下の試料を金属ガスケットと共にダイヤモンドで挟み込んで強く押し込むことによって高圧発生させる装置です。ダイヤモンドがX線(15keV以上)に対してほぼ透明なため、ダイヤモンドアンヴィル透過させて超高圧下での試料に対する線回折測定が可能です。しかし、発生圧力を高くすればするほど試料体積が微小になるため、高輝度のX線源の使用が不可欠となります。BL10XUでは高輝度の放射光X線をさらに集光した結果、超高圧条件や軽元素、さらに温度環境を変化させてのX線回折実験が可能になりました。また、高精度の強度解析が可能となり、高圧下に置かれた試料の精密な結晶構造解析が行われるようになりました。
図 ダイヤモンドアンヴィルセルの構造と各種DACの写真
画像ファイルの出典
BL評価プレゼン資料
測定準備に必要なおおよその時間
2 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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DAC-X線回折装置 | 高圧下でのX線回折測定 | 精密X線回折測定 |
参考文献
関連する手法
粉末X線回折、単結晶X線回折、中性子回折
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
測定の難易度
中程度
データ解析の難易度
熟練が必要
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
2~3シフト