大型放射光施設 SPring-8

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BL11XU マルチ結晶交換システムを備えた液体窒素冷却分光器

問い合わせ番号

INS-0000000442

原研専用アンジュレータビームラインBL11XUに、マルチ結晶切り替えシステムを備えた液体窒素循環冷却分光器を開発し設置した。BL11XUでは、6keV~70keVのX線を必要とするが、分光器の機械的な制約のため、ブラッグ角は3°~27°に制限されている。そのためSi(111)結晶では4.4keV~37.8keVしか利用できず、より高いエネルギーを使用する場合は、通常Si(311)結晶に交換しなければならない。液体窒素循環冷却装置を備えた分光器では、結晶交換に通常3日間~5日間も必要とするため、貴重な実験時間を確保する為には、実験サイクル中に結晶を交換することはできなかった。
そこで、複数の回折面の異なる結晶または素材の異なる結晶を、液体窒素温度の低温下の真空中で切り替えることができる液体窒素循環冷却装置を備えた分光器を開発した。結晶切り替えの原理は、二組の結晶を並列に並べ、二組の結晶を同時に並進させることで簡単に結晶を切り替える。マルチ結晶交換システムの開発と同時に、分光器内の改良も行った。液体窒素による各ステージの過冷却防止のために、セラミックブロックを挿入し熱を伝わりにくくさせ、板状ヒーターを組み込んだ銅ブロックを使って設定温度以下にならないよう工夫した。今回の開発により、今まで使用していたダイヤモンド(111)結晶と比べて、X線の強度はおよそ7倍に向上した。また、結晶交換は、5×10-5 Pa という真空中で、しかも液体窒素温度下にて、わずか5分間で結晶を交換し調整を終えることができるようになりました。X線回折面の(111)面と(311)面を、エネルギーに応じて切り替えながら使用すると、いつでも6keV~70keVまで強度の大きいX線が利用できるようになった。
最終変更日 2022-05-06 15:45