角度積分PESによるV2O3の準粒子ピークの観測
問い合わせ番号
SOL-0000001502
ビームライン
BL25SU(軟X線固体分光)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
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B. 試料詳細 | 金属・合金, 絶縁体・セラミックス, 結晶性固体, 結晶 |
C. 手法 | 光電離、二次電子 |
D. 手法の詳細 | 光電子分光 |
E. 付加的測定条件 | 超高真空, 低温(〜液体窒素) |
F. エネルギー領域 | 軟X線(<2 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 電子状態、バンド構造 |
産業利用キーワード
階層1 | 半導体 |
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階層2 | シリコン系半導体, 化合物半導体 |
階層3 | |
階層4 | 電子状態 |
階層5 | XPS |
分類
M40.40 軟X線分光, M50.10 光電子分光
利用事例本文
軟X線を用いた角度積分光電子分光は、固体物質の価電子帯の電子状態密度を調べることが出来る有効な手法です。励起光のエネルギーが高くなるほど光電子の脱出深度が深くなるので、真空紫外光の光電子分光に比べて固体内部(バルク)の情報を反映します。また、励起光のエネルギーを下げていくと、物質の表面に近づいたときの電子状態の変化が観測できます。軟X線領域では、遷移金属元素の3d軌道や希土類元素の4f軌道の励起断面積が大きいので、これらを含む物質の研究に有利です。図は、V2O3において価電子帯の光電子スペクトルの励起エネルギーの依存性を観測したものです。高分解能の軟X線光電子分光により、V2O3の準粒子ピークを初めて観測することができました。
[ S.-K. Mo, J. D. Denlinger, H.-D. Kim, J.-H. Park, J. W. Allen, A. Sekiyama, A. Yamasaki, K. Kadono, S. Suga, Y. Saitoh, T. Muro, P. Metcalf, G. Keller, K. Held, V. Eyert, V. I. Anismov and D. Vollhardt, Physical Review Letters 90, 186403 (2003), Fig. 2,
©2003 American Physical Society ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
Phys. Rev. Lett.90, 186403 (2003)
図番号
2
測定手法
軟X線角度積分光電子分光では、軟X線を固体試料に照射した時の光電子放出強度のエネルギー分布を観測し、価電子帯電子状態の状態密度を観測します。通常、価電子帯にはいくつかの軌道成分が含まれます。励起断面積の励起エネルギー依存性は軌道によって異なりますので、見たい情報に合わせて励起光のエネルギーを設定します。試料には電気伝導性が必要です。絶縁体は光電子放出によって帯電するため、測定できません。超高真空中で、劈開や破断により清浄表面を得ます。
画像ファイルの出典
図なし
測定準備に必要なおおよその時間
2 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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光電子分光装置 | 角度積分光電子分光 | 高分解能 |
参考文献
文献名 |
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Phys. Rev. Lett. 90, 186403 (2003) |
関連する手法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
同種実験は本ビームラインの課題の30%以上を占めている
測定の難易度
初心者でもOK
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
4~9シフト