Tb-Fe-Co 薄膜の元素選択磁気ヒステリシス
問い合わせ番号
SOL-0000001505
ビームライン
BL25SU(軟X線固体分光)
学術利用キーワード
A. 試料 | 計測法、装置に関する研究 |
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B. 試料詳細 | 磁性体 |
C. 手法 | 吸収、及びその二次過程 |
D. 手法の詳細 | MCD, LD |
E. 付加的測定条件 | 偏光(円、楕円), 超高真空, 表面, 高温(〜500度), 低温(〜液体窒素), 低温(〜液体ヘリウム), 磁場(< 2 T), 室温 |
F. エネルギー領域 | 軟X線(<2 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | スピン・磁性構造 |
産業利用キーワード
階層1 | 記憶装置 |
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階層2 | HD、MO |
階層3 | 磁性層, 磁気ヘッド, スピンバルブ膜 |
階層4 | 電子状態, 磁化, 磁気異方性, 界面磁気構造 |
階層5 | XMCD |
分類
A30.20 表面界面物性, A80.14 磁性材料, A80.30 無機材料, M40.30 磁気吸収, M40.40 軟X線分光
利用事例本文
軟X線磁気円二色性(XMCD)は磁気情報を調べることのできる強力な手法です。XMCDスペクトルからは磁性体中の磁性電子の状態や磁気モーメントの大きさを測定することができます。試料が複数の元素から成る合金や化合物であっても、吸収端を選ぶことで元素選択的な磁気情報を取得できることが最大の特徴です。また、軟X線磁気円二色性の強度を試料への印加磁場の関数としてプロットすると、元素選択磁気ヒステリシスが得られます。
図に示すのは、Tb18Fe65.3Co16.7アモルファス合金薄膜について測定した元素選択磁気ヒステリシスです。(a)はTb M4,5, Fe L2,3, Co L2,3各吸収端におけるXMCDスペクトル(黒丸)と左、右回り円偏光に対する吸収曲線(それぞれ、実線と破線)です。(b)は入射X線のエネルギーを各元素吸収端のMCD最大条件に合わせて、MCD強度の磁場依存性を測定した結果(元素選択磁気ヒステリシス)です。この結果から、Tbの磁気モーメントは、FeやCoの磁気モーメントとフェリ磁性結合していることや、その関係を強く保ちつつ外部磁界に対して磁化変化していることが確認されました。この結果はBL25SUにおいて元素選択磁気ヒステリシス測定をデモンストレーションとして試行したものです。
[ T. Nakamura, T. Muro, F.-Z. Guo, T. Matsushita, T. Wakita, T. Hirono, Y. Takeuchi and K. Kobayashi, Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 144-147, 1035-1038 (2005), Fig. 3,
©2005 Elsevier Science Publisher ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
J. Elecron. Spectrosc. and Relat Phenom. 144-147, 1035-1038 (2005).
図番号
3
測定手法
ツインヘリカルアンジュレーターによって右回り円偏光と左回り円偏光を1Hzで周期的に切り替え、それと同期して吸収量を測定することで磁気円二色性を得ています。磁気円二色性スペクトルを得たいときは回折格子角を変化させながら、また、図の磁気ヒステリシスを得たいときには印加磁場を変化させながらXMCD信号を記録します。BL25SUに設置されている電磁石式の磁気円二色性測定装置を用いて測定しました。
[ T. Nakamura, T. Muro, F.-Z. Guo, T. Matsushita, T. Wakita, T. Hirono, Y. Takeuchi and K. Kobayashi, Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena 144-147, 1035-1038 (2005), Fig. 2,
©2005 Elsevier Science Publisher ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
J. Elecron. Spectrosc. and Relat Phenom. 144-147, 1035-1038 (2005).
図番号
2
測定準備に必要なおおよその時間
4 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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磁気円二色性測定装置 | 軟X線磁気円二色性の測定 | 印加磁場 (±1.9 T), 試料温度 (低温16K ~ 300K, 高温300K ~ 500K)) |
参考文献
文献名 |
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J. Elecron. Spectrosc. and Relat Phenom. 144-147, 1035-1038 (2005). |
関連する手法
光電子顕微鏡:磁気円二色性を用いたイメージングが可能(ただし、磁場印加は不可)
アンケート
本ビームラインの主力装置を使っている
同種実験は本ビームラインの課題の30%以上を占めている
最近2年以内に導入した装置を使った事例
測定の難易度
初心者でもOK
データ解析の難易度
初心者でもOK
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
2~3シフト