大型放射光施設 SPring-8

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高エネルギーブランチ[Bブランチ]

問い合わせ番号

INS-0000001529

Bブランチ:高エネルギーブランチ

 Bブランチでは、Si(111)チャンネルカット結晶分光器によって2.1~3.3keVの単色化された軟X線が利用可能である。このエネルギー領域は、硫黄・リン塩素のK 殻や、モリブデン・ルテニウムのL殻などに相当する。実験ステーションには、蛍光収量法・電子収量法が利用可能な、汎用型の軟X線吸収分光装置が配備されている。軟X線吸収分光測定では、部分蛍光収量法を用いることにより、低濃度(<100ppm)試料の吸収分光測定も可能であり、材料化学・触媒化学・地球化学等多様な試料の化学状態研究が行われている。また、試料位置におけるビームサイズは〜φ15μm程度であり、軽元素の元素マッピングや吸収分光測定と蛍光X線分析を組み合わせた、化学状態マッピング測定も可能となっている。

  • 光学系

      Si(111)チャンネルカット結晶分光器によって単色化された軟X線は、K.-B.(Kirkpatrick-Baez)配置された2枚の非球面鏡(M1b, M2b)によって試料上に集光される。集光鏡の表面にはNiコーティングを施し、2.5 keVの軟X線利用(硫黄 K吸収端)に反射率を最適化している。また、広範なエネルギー範囲を対象とした軟X線吸収分光測定に対応するため、チャンネルカット結晶の回転に同期して、アンジュレータのギャップも同時に掃引している。分光素子としてチャンネルカット結晶を用いているために光軸の高さにオフセットが生じるが、M2bならびに測定チェンバの高さも同期して上下駆動させることで、オフセットを解消している。

  • Bブランチの光学系レイアウト

  • 試料点における放射光のスペック

    エネルギー領域 2.1 ∼ 3.3 keV
    光子数 ∼ 1 × 1011 photons/s/100 mA
    ビームサイズ 15(H)×15 (V)µm (表記は一般的な使用条件での値。FEスリットの開口値に依存)
    偏光 水平偏光のみ

汎用軟X線顕微分光解析装置

  本装置では、電子収量法ならびにシリコンドリフト検出器を用いた部分蛍光収量法による、軟X線吸収分光測定を行っている。また、薄膜試料に対しては透過法による吸収分光測定も可能である。試料導入漕直前に差動排気装置を設置することにより、低真空(~1Pa程度)環境での利用が標準となっている。また、試料位置におけるビームサイズは〜φ15μm程度であり、軽元素の元素マッピングや吸収分光測定と蛍光X線分析を組み合わせて、硫黄やリンの化学状態マッピング測定も可能である[1]。測定漕は汎用型実験容器となっており、小型のユーザー持込み機器を接続して利用することも可能であり、小角散乱測定なども行われている。

  • 備え付けの測定装置
    • エネルギー分散型軟X線分析器 (シリコンドリフト検出器)
      25mm2の単素子シリコンドリフト検出器
      Si3N4窓仕様と、Be窓仕様を利用可能
      係数率は<1×105cps
    • 走査型軟X線顕微分光測定用マッピングステージ
      試料サイズは、20mm×100mm程度(t1〜2程度)に対応

軟X線吸収分光装置の外観

  • 文献
  • [1] Y. Tamenori et al., J. Structural Biol, 186, 214-223 (2014).

最終変更日 2015-07-24 16:30