大型放射光施設 SPring-8

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BL35XU 非弾性X線散乱装置

問い合わせ番号

INS-0000000515

高分解能非弾性散乱装置

  • 概要およびエネルギー分解能


      以下表に、現在可能な実験条件を示す。BL35XUの非弾性X線散乱装置では12個のアナライザー結晶を使用することで12個の移行運動量(Q)のスペクトルを同時に測定することができる。なお、エネルギーセットアップ(Si反射指数)を実験中に変えることは、一般に不可能である。

    BL35XU-IXSでの利用可能なエネルギー条件
    Si反射指数 X線エネルギー
    (keV)
    λ (Å) 分光器の分解能
    (meV)
    試料位置での
    光量*
    (1010 s-1)
    最大Q
    2θ= 55° (nm-1)
    アナライザー間隔
    0.70° (nm-1)
    アナライザーの受入角
    (0.12 to 0.54°) (nm-1)
    (9 9 9) 17.794 0.6968 3.0 ∼ 3 83 1.11 0.21 – 0.85
    (11 11 11) 21.747 0.5701 1.5 〜1 101 1.35 0.25 – 1.04
    *KBミラー非搭載時
    †17.794 keVの利用をご検討の際は予めビームライン担当者にご連絡下さい。

  • 移行運動量

      分光器に取り付けられた12個のアナライザー(縦4個 × 横3個)により極めて効率よくデータを取得できる。このアナライザー配置によって、特に液体・ガラスのダイナミクスや、固体中の縦波フォノン(水平方向のアナライザーを利用)、横波フォノン(垂直方向のアナライザーを利用)を効率よく測定することができる。アナライザー結晶の間隔は0.70° に固定されている。移行運動量分解能はアナライザー前のスリットを開閉することによって定まる。ただし、スリットサイズを変更するとエネルギー分解能が変化するので、それぞれのスリットサイズで分解能を測定する必要がある。最小の移行運動量の大きさはおよそ2 nm-1である。さらに小さくすることは可能であるが、特別な試料容器が必要になる場合があるとともに、使用できるアナライザーの数が限られる可能性がある。詳細については、ビームラインスタッフに尋ねていただきたい。

  • 試料周りとビームサイズ

      ビームはミラーで集光されているので小さな試料や高圧容器にも対応できる。標準ミラーを用いたビームサイズは試料位置でおおよそ直径80 µm(FWHM)である。KBミラーを導入することにより、さらに小さなビームサイズを得ることができる(直径20 µm(FWHM))。KBミラーの導入のために1日程度必要とすることから、KBミラーを希望するユーザーは申請時に自身の実験期間に加えて、KB導入用のビームタイムを1日(3シフト)加算して申請していただきたい。
      標準で試料は4軸回折計(Huber512.1)上に置かれるが、既設装置との互換性があれば他のステージも搭載可能である。Huber512.1に装着する∼ 6 Kから800 Kまで温度可変なHe循環式のクライオスタットが使用できる。低い移行運動量での測定を希望するユーザーは、バックグラウンドを減らすため、装置の窓材の選択や試料マウント方法にも注意を払っていただきたい。

  • 詳細

     試料準備等、詳細についてはBL35ホームページも参照のこと。

最終変更日 2022-05-13 11:21