BL39XU XMCD測定用電磁石とクライオスタット
問い合わせ番号
INS-0000000530
XMCD測定用電磁石およびヘリウム循環型クライオスタット
BL39XUでは、XMCD実験および磁気散乱実験のための電磁石とクライオスタットが整備されています。この電磁石では最大 2 T の磁場を試料に印加できます。 最大磁場を出すときの磁極の間隔は 10 mm で、この間に試料を置きます。磁極の部分は取り外しが可能です。使いたい磁場の強度や、試料スペースに応じて間隔の異なる3種類の磁極が用意されています。それぞれの磁極を使ったときに得られる最大磁場を表1に示します。 電磁石に流す電流の極性を変えることで、磁場の極性を比較的高速に切り替えることができます。正の最大磁場から負の最大磁場への切り替えに要する時間は1.7秒です。 この配置では電磁石を垂直軸周りに任意の角度だけ回転させることができます。さらに、磁極を垂直面内で任意の角度だけ傾けることもできます。したがって、実験の種類に応じて、 磁場の方向を入射X線に対して、平行、垂直、もしくは任意の角度に向けることができます。
低温での測定は、ヘリウム循環型クライオスタットとヘリウムフロー型クライオスタットが利用できます。ヘリウム循環型クライオスタットは、試料温度を 20 K まで冷やすことができます。最低温度までの冷却に必要な時間はおよそ90分です。20 K から 300 K までの範囲で試料温度を0.1 Kの精度で制御できます。 クライオスタットは電磁石に取り付けて使用します。低振動タイプのコンプレッ サーを採用しているため試料位置での振動は十分抑えられています。クライオスタットに取り付けられる試料ホルダーは何種類か用意されており、電磁石の磁極間隔に適合するホルダーを選ぶことができます。ヘリウムフロー型クライオスタットは、11 K から 330 K の範囲で利用できます。液体ヘリウムを利用するため、最低温度までの冷却に必要な時間はおよそ30分程度です。無振動ですが、クライオスタットを鉛直方向に立てるため、磁場の印加方向はX線に平行な方向のみに制限されます。表1には、クライオスタットと磁極間隔との組み合わせに対する到達最低温度を示します。
- 表1. 電磁石の磁極間隔とクライオスタットとの組み合わせに対する最大磁場と到達最低温度
磁極間隔 (mm) 45 20 10 最大磁場 (T) 0.61 1.09 1.98 到達最低温度 (ヘリウム循環型) (K) 20 26 40 到達最低温度 (ヘリウムフロー型) (K) 11 --- 20 図1. XMCD測定用電磁石