Auナノ粒子の強磁性磁気偏極の観測
問い合わせ番号
SOL-0000001602
ビームライン
BL39XU(X線吸収・発光分光)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
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B. 試料詳細 | 金属・合金, 磁性体, ナノ材料ナノ構造 |
C. 手法 | 吸収、及びその二次過程 |
D. 手法の詳細 | XAFS, MCD, LD |
E. 付加的測定条件 | 偏光(円、楕円), 低温(〜液体ヘリウム), 磁場(> 2 T) |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | スピン・磁性構造 |
産業利用キーワード
階層1 | 記憶装置 |
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階層2 | HD、MO, 触媒 |
階層3 | 磁性層 |
階層4 | 電子状態, 磁化, 磁気異方性, 界面磁気構造 |
階層5 | XAFS, NEXAFS, XMCD |
分類
A80.14 磁性材料, M40.10 XAFS, M40.30 磁気吸収
利用事例本文
X線磁気円二色性分光 (X-ray magnetic circular dichroism=XMCD) は試料を構成する個々の元素の磁性を調べることのできるユニークな手法です。この手法を用いると、複数の磁性元素あるいは磁性元素と非磁性元素から成る試料について各元素の磁化を分離して測定することができます。また、元々は磁性を持たないCu, Pt, Auなどの元素に誘起された微弱な磁性を感度良く検出することができます。
図に示すのは、直径1.9 nm のAu粒子について測定したXMCDスペクトルです。この結果から、バルクの状態では磁性を持たないAuが、ナノ粒子の形状をとると強磁性的に磁気偏極することがわかりました。
図. Auナノ粒子のX線磁気円二色性(XMCD)スペクトル。AuのL3 (a) およびL2 (b) 吸収端での測定結果です。
[ Y. Yamamoto and H. Hori, 放射光 18, 3-9 (2005), Fig. 3,
©2005 日本放射光学会 ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
放射光 vol. 18, No. 1, p. 3 (2005).
図番号
Fig. 3
測定手法
X線磁気円二色性 (XMCD) 分光は、右回りと左回りの円偏光X線に対する試料の吸収スペクトルのわずかな違いを測定することによって得られます。この例では、Auの共鳴吸収端でXMCDスペクトルを測定することにより、Auナノ粒子自身の磁性に関する情報が得られました。
図. X線磁気円二色性 (XMCD) 測定の原理
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
鈴木基寛が作成しました。
測定準備に必要なおおよその時間
12 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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10 T 超伝導マグネット | 強磁場下でのX線磁気円二色性スペクトルの測定、元素別磁化過程の測定 | 磁場 ±10 T、試料温度1.7~300 K |
偏光変調XMCD測定 | 高精度・高感度なX線磁気円二色性スペクトルの測定 | 0.1%以下のX線磁気円二色性シグナルの検出が可能 |
参考文献
文献名 |
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Y. Yamamoto, T. Miura, M. Suzuki, N. Kawamura, H. Miyagawa, T. Nakamura, K. Kobayashi, T. Teranishi, and H. Hori, Phys. Rev. Lett. 93, 116801 (2004). |
山本良之, 堀 秀信: 放射光 18, 3 (2005). |
関連する手法
SQUID磁化測定
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
同種実験は本ビームラインの課題の30%以上を占めている
測定の難易度
初心者でもOK
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
4~9シフト