大型放射光施設 SPring-8

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パーソナルツール
 

Fe4Nの圧力誘起磁気相転移の観測

  • Spring8ならでは

問い合わせ番号

SOL-0000001607

ビームライン

BL39XU(X線吸収・発光分光)

学術利用キーワード

A. 試料 無機材料
B. 試料詳細 磁性体
C. 手法 吸収、及びその二次過程
D. 手法の詳細 XANES, MCD, LD
E. 付加的測定条件 偏光(円、楕円), 高圧(DAC), 磁場(< 2 T), 室温
F. エネルギー領域 X線(4~40 keV)
G. 目的・欲しい情報 電子状態、バンド構造, スピン・磁性構造, 相転移

産業利用キーワード

階層1 記憶装置
階層2 HD、MO
階層3 磁性層
階層4 局所構造, 電子状態, 磁化, 磁気異方性
階層5 XAFS, XMCD

分類

A80.14 磁性材料, M40.30 磁気吸収

利用事例本文

X線磁気円二色性(XMCD)は元素別にしかも電子軌道を選別してその電子状態を調べることのできるユニークな手法です。また、XMCD強度は試料の磁化の大きさに比例します。したがってこの手法を用いることで、注目している磁性原子の磁気モーメントの相対的な大きさを温度や磁場、圧力のような外場の関数として得ることができます。SPring-8 BL39XU では、硬X線領域(5-16 keV)の円偏光X線を利用できるため、強磁性物質中に含まれるCr~Cuのような3d遷移金属、La~Luのような4f希土類元素、Hf~Pt, Auのような5d遷移金属について調べることができます。

図に示すのは、Fe4Nについて測定したFe K-吸収端(1s4p)でのXMCD強度の圧力変化です。この結果から、Fe原子が面心立方格子を形成して強磁性が比較的安定だと考えられていたFe4Nにおいても、24 GPa以上加圧することによってFeが磁気モーメントを失うことがわかりました。また、圧力履歴が存在しないことから、この圧力誘起相転移が二次相転移であることがわかりました。

図.Fe4NにおけるFe K-吸収端でのXMCD強度の圧力依存性。

[ N. Ishimatsu, H. Maruyama, N. Kawamura, M. Suzuki, Y. Ohishi, M. Ito, S. Nasu, T. Kawakami and Osamu, Journal of the Physical Society of Japan 72, 2372-2376 (2003), Fig. 2,
©2003 日本物理学会 ]

 

画像ファイルの出典

原著論文/解説記事

誌名

N. Ishimatsu et al., J. Phys. Soc. Jpn. 72, 2372 (2003).

図番号

Fig. 2

測定手法

XMCDスペクトルは、右回りと左回り円偏光X線の吸収量の差をエネルギーの関数として測定することによって得られます。また、XMCD強度は試料の磁化に比例するため、その性質を利用することによって、化合物中に含まれる複数種の磁性原子に対して元素別にその磁化の相対的な大きさを知ることができます。この例では、Fe K-吸収端でXMCD強度の圧力変化を測定することによって、Fe4N中のFeの磁気モーメントの圧力変化に関する情報が得られます。

 

図.X線磁気円二色性(XMCD)測定の原理。

 

画像ファイルの出典

私信等、その他

詳細

鈴木基寛氏による作成

測定準備に必要なおおよその時間

5 時間

測定装置

装置名 目的 性能
XMCD測定用電磁石およびクライオスタット 室温から低温にかけてX線磁気円二色性スペクトルを測定 最大印加磁場 2 T、試料温度 20-300 K

参考文献

文献名
N. Ishimatsu, Y. Ohishi, M. Suzuki, N. Kawamura, M. Ito, H. Maruyama, S. Nasu, T. Kawakami, and O. Shimomura, Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A 467-468, 1061 (2001).
N. Ishimatsu, H. Maruyama, N. Kawamura, M. Suzuki, Y. Ohishi, M. Ito, S. Nasu, T. Kawakami, and O. Shimomura, J. Phys. Soc. Jpn. 72, 2372 (2003).

関連する手法

磁化測定、X線磁気散乱、メスバウアー分光

アンケート

SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
ユーザー持ち込み装置を使った

測定の難易度

中程度

データ解析の難易度

中程度

図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数

10シフト以上

最終変更日 2024-07-02 16:05