筋小胞体カルシウムATP分解酵素の立体構造決定
問い合わせ番号
SOL-0000001634
ビームライン
BL41XU(生体高分子結晶解析 I)
学術利用キーワード
A. 試料 | 生物・医学 |
---|---|
B. 試料詳細 | 生体高分子、結晶, 蛋白質 |
C. 手法 | X線回折 |
D. 手法の詳細 | 単結晶構造解析 |
E. 付加的測定条件 | 低温(〜液体窒素) |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 化学状態, 結合状態, 分子構造, 構造解析, 構造変化, 機能構造相関, 電荷密度 |
産業利用キーワード
階層1 | 製薬 |
---|---|
階層2 | ドラッグデザイン, 製剤 |
階層3 | タンパク質, 薬物 |
階層4 | 結晶構造, 局所構造 |
階層5 | 回折, X線散乱 |
分類
M10.10 単結晶回折
利用事例本文
筋細胞中には筋小胞体という細胞小器官があり、その中にはカルシウムイオンが閉じ込められています。筋細胞は神経からの刺激を受けると、この筋小胞体からカルシウムイオンを放出し、それが筋収縮の引き金になっています。筋小胞体カルシウムATP分解酵素は筋小胞体の膜に存在する膜タンパク質複合体で、筋収縮後に放出されたカルシウムイオンを再び筋小胞体内部に取り込む働きをします。
本事例は、ウサギ由来のカルシウムATP分解酵素の立体構造をBL41XUを用いて決定しました(図1)。
膜タンパク質の結晶は一般にX線反射能があまり良くないことが多く、またこの酵素の分子量は約11万ととても大きく、結晶格子定数も166.0x64.4x147.1 Åと大きいものです。またこの酵素の結晶は厚さが20 µmほどしかなく、BL41XUの高輝度X線を利用することが構造決定に必須でした。
カルシウムATP分解酵素は、心筋梗塞やがん治療の観点からも大いに注目されている酵素で、この構造決定はこれらの研究を大きく前進させるものです。
図1. 筋小胞体カルシウムATP分解酵素の立体構造モデル
[ C. Toyoshima, M. Nakasako, H. Nomura and H. Ogawa, Nature 405, 647-655 (2000), Fig. 2,
©2000 Nature Publishing Group ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
C. Toyoshima, et al., Nature 405, 647-655 (2000)
図番号
2
測定手法
画像ファイルの出典
図なし
測定準備に必要なおおよその時間
0 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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タンパク質結晶用回折装置 | X線回折像の記録 |
参考文献
文献名 |
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C. Toyoshima, et al., Nature 405, 647-655 (2000) |
関連する手法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
測定の難易度
中程度
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
4~9シフト