X線マイクロビーム回折
問い合わせ番号
SOL-0000001684
ビームライン
BL47XU(マイクロCT)
学術利用キーワード
A. 試料 | 有機材料, 原子・分子・ラジカル, 生物・医学, 計測法、装置に関する研究 |
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B. 試料詳細 | 高分子有機材料, 結晶, 溶液, 液晶, 脂質, 膜, 分子 (中性), 生体高分子、結晶, 蛋白質, 医薬品 |
C. 手法 | X線回折 |
D. 手法の詳細 | 単結晶構造解析, 粉末結晶構造解析, 小角散乱 |
E. 付加的測定条件 | マイクロビーム(<1μm), 二次元画像計測, 応力付加、変形 |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | 分子構造, 構造解析, 結晶構造, 欠陥、転位、歪み, 構造変化 |
産業利用キーワード
階層1 | 環境, 製薬 |
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階層2 | ドラッグデザイン, 製剤, 繊維 |
階層3 | タンパク質, 薬物, 錠剤 |
階層4 | 結晶構造, 配向, 結晶化度, 結晶多形, 内部構造 |
階層5 | 回折, X線散乱, 小角散乱, イメージング |
分類
A60.20 環境物質, A80.32 有機材料, A80.40 環境材料, A80.50 製薬, M10.10 単結晶回折, M10.20 粉末結晶回折, M10.30 表面・界面構造回折, M20.10 小角散乱
利用事例本文
X線マイクロビーム回折法は、サブミクロンレベルの非常に微小な領域の結晶構造を調べることのできるユニークな手法です。この手法を用いることで、試料の目的とする場所の分子構造を調べることができます。
フレネルゾーンプレートと呼ばれる素子でX線を直径0.5ミクロン以下に絞り、それをプローブにして試料に照射しその回折を測定します。
従来のX線回折法に比べ、この手法のメリットは、
- 照射位置を選べる
- 非常に小さい結晶の測定が可能
- バックグラウンドが小さい
- 露光中にビームを少しずつ動かすことで、試料への照射損傷の影響を軽減できる
などが挙げられます。
図に示すのは、高強度生分解性ポリエステル繊維(ポリ[R)-3-ヒドロキシブチレート], 直径50ミクロン)について、断面方向に2ミクロンずつ照射場所を変えながら順に回折を測定したものです。赤い矢印が示したところに、他とは別の構造を示す回折が出ています。この結果から、繊維外側がらせん構造を有する結晶のみで構成され、内部はらせん構造と更に平面ジグザグ構造の二種類の結晶が存在する、つまり2つの結晶構造が局在した芯鞘構造であることがわかりました。
図:生分解性ポリエステル繊維(ポリ[R)-3-ヒドロキシブチレート], 直径50ミクロン)のマイクロビームX線回折像。顕微鏡像(左写真)の線上を2ミクロンおきに測定。
[ T. Iwata, Y. Aoyagi, M. Fujita, H. Yamane, Y. Doi, Y. Suzuki, A. Takeuchi and K. Ursugi, Macromolecular Rapid Communications 25, 1100-1104 (2004), Fig. 3,
©2004 Wiley VCH ]
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
理化学研究所 土肥高分子化学研究室の岩田忠久博士
測定手法
X線マイクロビーム回折実験はフレネルゾーンプレート等の集光光学素子を用いて生成した集光ビームによって可能になります。これによって、試料のごく小さい領域(サブミクロンオーダー)からの回折パターンが測定できるようになります。
マイクロビーム回折実験装置の図
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
理化学研究所 岩田忠久博士
測定準備に必要なおおよその時間
1 日
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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フレネルゾーンプレート | マイクロビーム生成 | 理論分解能0.25ミクロン |
ビームモニタ2 | 光学系の調整 | ピクセルサイズ4.3ミクロン |
イメージインテンシファイア付きCCDカメラ | 回折像の測定 | 4インチ視野 |
参考文献
文献名 |
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T. Iwata et. al., Macromol. Rapid Commun. 25, 1100-1104, 2004 |
関連する手法
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
測定の難易度
中程度
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
2~3シフト