大型放射光施設 SPring-8

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輸送系・遮蔽

ミッション

SPring-8は現在、世界で最もパワフルな放射光施設の1つであり、この世界最高性能を維持・発展させるために新技術の開発や導入など、研究開発を欠かすことは出来ない。また、X線-FELに代表されるように次世代光源開発も進んでおり,これらの計画を円滑に進めるためにはビームライン輸送チャンネルや放射線挙動解明などの開発研究を積極的に進める必要がある。

(a)光源開発等に伴う放射線挙動研究に代表される基盤技術開発、および(b)放射光ユーザへの最新技術情報の提供、を強力に推進すべく,輸送チャンネルチームと遮蔽チームがお互いに連携・協力しながら放射光科学の発展に寄与するべく、努力している.

遮蔽チーム

放射線安全評価・計算を確実に実施し、加速器およびビームラインの安全かつ円滑な運転に寄与するとともに、安全管理の実働部隊である安全管理室の技術的な相談者として、施設の放射線安全の保持を図る。大型放射光施設の放射線安全に係わる技術開発を推進し、放射線挙動・遮蔽評価技術をさらに高め、次世代光源開発の円滑な推進に寄与する。

放射光や電子加速器で発生する高エネルギーX線・中性子は、遮蔽で十分に減衰させ、人に影響を与えないレベルにする必要がある。新規ビームライン建設時 には、設計の段階において放射線計算を行うことはもちろん、使用前には、放射線の実験ハッチからの漏洩がないか実際に検査を行い、安全を確認している。

SPring-8における放射線安全、放射線損傷防止、放射線データ整備等のために、放射線のエネルギー、強度、線量などを精度良く測定および解析することを目的に活動している。方法としては、放射線物理という学問分野をベースに、数値シミュレーション技術を駆使し、放射線測定機器の開発や計算を行っている。また、シミュレーション技術を高めるため、遮蔽実験も実施している。

蓄積リング内では散乱放射光による放射線レベルが高く、冷却ホースや電源ケーブルなど機器に対する損傷を引き起こす。そこで、2次元の線量分布が得られるガフクロミックフィルムを利用したシステムを導入し、データを整備したうえでスタッフに提供している。

各ビームラインにとって、X線強度の値はその装置性能を知る上で重要である。SPring-8の放射光は、低エネルギーX線 でありながら極端に大強度な、従来にない放射線であることから、その測定方法は確立していなかった。そこで、放射線シミュレーション技術を用いて、 放射光強度モニター技術の開発を行い、ほとんどのビームラインにおいて、放射光強度を精度良く測れる目途をつけた。モニターは線量計性能測定や放射光 データ取得のために役立てている。

輸送系チーム

SPring-8の有する世界最高性能の高輝度X線の機能を抽出し (エネルギー, 偏光, フラックス, 時間, 空間, エネルギー幅を自在に切り出し), 利用に供するための輸送チャンネルを光学系グループとともに横断的, 効率的に維持管理, 高度化していく.

  • 既設ビームラインにおいては, 光源・基幹チャンネル及び光学系と、実験ステーションの間の橋渡しとして, 光源性能を損なうことなく, 安定かつ放射光ユーザの必要とする光として提供する. この目的のため, 光学機器を維持し, 真空を維持し, 遮蔽性能を維持し, さらにビームの状態を監視し安定化していく.
  • 新たなビームライン建設や既存ビームラインの改造にあたって, 既存の技術では実現し得なかった高機能の放射光を提供し, 新たな放射光利用の可能性を開拓しつつ, 機器設計, 建設, 改造を推進する. このため, 伝熱工学, 機械工学, 精密工学, 真空工学,さらには数値解析など多岐にわたる科学技術を融合し,従前の技術では不可能とされていた機器の開発と導入をおこなう.

ビームライン輸送チャンネルの真空の維持, 放射光ビームの空間的な加工やモニタ, 放射線遮蔽などに関連する各種コンポーネントの維持管理および, その性能向上, 信頼性向上のための開発を, 輸送チャンネルチームは光学系グループと一体となって行っている。また、既存ビームラインや新規ビームラインの改造・建設に関わる工程管理やマニュアル整備などを進めている。

  • 真空排気ユニットの維持管理および機器の高性能化・高寿命化に関する開発
  • シャッタ, スリット, ベリリウム窓など輸送チャンネルコンポーネントの維持管理および標準化を視野に入れた開発
  • 輸送チャンネル機器の振動抑制技術開発
  • 遮蔽ハッチの維持管理および開発
  • ユーティリティ (冷却水, 圧縮空気, 電力) の維持管理と改善
  • 既存ビームラインの改造に関わる工程管理等各種業務
  • 今後の共用ビームラインや専用ビームラインの建設に関わる工程管理等各種業務
  • WWWなどにおけるオンラインドキュメント (マニュアル, デザインレポート, 図面) の整備
最終変更日 2015-02-03 11:46