放射光を利用すれば ...
- 物質の種類や構造、性質を詳しく知ることができます。
- 様々な環境下での物質の構造や性質、及びその時間変化の様子を詳しく知ることができます。
- 化学反応や物質変化の起動力として用いることができます。
放射光は以下のような広範な分野で基礎研究から応用研究、さらに、産業利用に役立っています。
生命科学: |
タンパク質巨大分子の3次元構造解析、非結晶生体物質の小角散乱、薬剤設計、新薬開発など |
物質科学: |
先端材料の原子・電子の構造、極端条件下の材料物性、産業材料の評価、新物質創製と材料改質など |
化学: |
触媒反応の動的挙動、表面のX線光化学過程、原子・分子分光、超微量元素分析及び化学状態、考古学的研究など |
地球科学: |
地球深部物質の構造と状態、極限環境下の物性、隕石・宇宙塵の構造など |
環境科学: |
生体試料中の環境汚染微量元素の分析、高性能電池材料の局所構造解析、環境浄化用触媒の分析など |
医学: |
微小血管造影法による腫瘍血管の観察、トモグラフィ、屈折コントラスト・映像法による呼吸器系疾患の観察など |
産業: |
半導体用新酸化物材料の評価、ナノ材料の評価、微量元素分析、材料の断層観察、材料の歪み分布解析など |
このような科学分野を基盤としたバイオテクノロジー、ナノテクノロジー、IT(情報技術)などの新技術は、21世紀初頭の新しい産業革命への先導となることが期待されます。放射光はこれらの技術発展に大いに貢献しています。
放射光(X線)を利用して行う研究
放射光を用いる研究手段と研究対象を目的別にまとめると、次のようです。
原子配列・構造の解析
生体分子結晶構造解析 |
極微小タンパク質結晶・タンパク質複合体の原子配列 |
粉末結晶構造解析 |
無機・有機結晶構造、電子密度分布解析 |
極端条件下X線回折 |
高圧・高温下での原子構造、地球深部物質構造 |
時分割X線回折 |
動的構造変化、相転移 |
表面回折 |
表面・界面構造、表面相転移、表面化学反応 |
小角散乱 |
タンパク質分子の溶液構造、非結晶固体・液体・融体の局所構造 |
X線光子相関法 |
スペックル測定、不均一構造のゆらぎ |
XAFS |
原子の局所構造 |
歪・二次組織解析 |
残留応力分布、結晶方位分布 |
機能の解析、状態・成分の分析
光電子分光 |
高温超伝導体・磁性体・半導体などの電子状態 |
磁気散乱・吸収 |
磁気物性、スピン構造 |
X線共鳴散乱 |
軌道秩序、電荷秩序 |
XAFS |
触媒作用、化学反応と中間体 |
X線非弾性散乱 |
素励起・電子状態、フォノン分散関係 |
蛍光X線分析 |
微量元素分析、元素分布測定 |
核共鳴散乱 |
超微細相互作用、局所フォノン密度 |
軟X線発光分光 |
X線蛍光・ラマン散乱、電子状態 |
赤外線分光 |
分子振動、電子状態 |
イメージング法による観察
屈折・位相コントラスト法 |
医学研究(がん、微小血管など) |
X線マイクロトモグラフィ |
生体組織・工業材料の三次元観察 |
X線顕微鏡 |
生体器官・細胞、材料・電子デバイスの観察 |
蛍光X線・X線トポグラフィ |
格子欠陥、二次組織、結晶成長 |
コヒーレントX線回折顕微鏡 |
非結晶体の3次元可視化 |
材料の改質、新物質の創製
照射効果 |
内殻励起分子解離、固相成長、生物放射線効果 |
光化学反応 |
X線CVD、超微細加工 |
最新の成果と放射光の利用事例
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