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(1)パラジウム
白金属の貴金属元素の一つであり、自動車排ガス浄化触媒として白金、ロジウムとともに広く利用されている。歯科材料や電子工学分野でも用いられており、近年、自動車用途として急激に使用量が増加して需要過多となっている。
(2)ペロブスカイト型酸化物
天然鉱物であるCaTiO3(一般的にABO3 と記す)と同じ結晶構造をもつ酸化物で、ロシア人の鉱物学者の名前にちなんで名付けられた。理想型のペロブスカイトは、単位格子の立方体の中心にA(陽イオン)、頂点にB(陽イオン)、辺の中心にO(陰イオン)が位置している構造である。
(3)固溶体
固体で均一な相を保っている混合物。この触媒は酸素八面体の中心であるBサイト(酸素原子が6個配位している)を鉄、コバルト、パラジウムが無秩序に占有している置換型の固溶体である。
(4)X線異常散乱
X線のエネルギーをある原子の吸収端に選ぶことにより、X線のその原子による散乱の強さが共鳴的に増大する効果で、結晶中の特定原子に注目した構造解析に有効である。 今回の実験では、X線エネルギーをPd 原子のK 吸収端(Pd 原子に局在した内殻の1s 電子を連続帯準位に励起)近傍に選ぶことにより、Pd 原子に注目した結晶構造解析が可能となる。
(5)X線吸収スペクトルの微細構造
各元素特有のイオン化エネルギー(吸収端エネルギー)以上で観測されるX線吸収スペクトルの微細構造はEXAFSと呼ばれ、その原子から励起された光電子が周りの原子により干渉を受ける結果として現れる。 これを解析することによりPd 原子の周りの局所構造を求めることができる。