放射光について
光(電磁波)には、その波長に応じて、人が認識できる波長領域である可視光領域(およそ400~800 nm)があります。この可視光域からさらに長い波長の電磁波は、赤外線(近赤外線、中赤外線、遠赤外線)、そして電波帯域(マイクロ波、サブミリ波、ミリ波・・・)へと続きます。
一方、可視光領域からさらに短い波長領域の電磁波は、紫外線、真空紫外線、X線と続きます。
加速器を用いて作り出される放射光は、これらの短波長側のX線から長波長側のマイクロ波までの広い範囲の波長の電磁波を含みます。
また、放射光の発生原理は、光の速度に近い高エネルギーの電子が磁場中を通過すると、磁場によって軌道を曲げられ、このとき軌道の接線方向に光(電磁波)を発生します。軌道の接線方向に光が集中し、指向性の大きい、強い光となります。
SPring-8では、微量微小試料の分析(和歌山毒物カレー事件にも活用)や、波長の短いX線を使った原子レベルの解析による新しい物質の創造(物質科学)、タンパク質の構造解析を通して生命活動のメカニズム解明や新薬創出(生命科学、薬学)など、その他、地球科学・環境科学・産業利用などの幅広い分野で利用されています。