大型放射光施設 SPring-8

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高分解能CTでみる植物のミクロな構造

京都⼤学 ⽣存圏研究所 杉⼭淳司

植物材料には個性がある
 私たちの身のまわりには、木材や繊維でできたものがたくさんあります。これらは何だろう。そう思ったことはありませんか?身の回りの植物の名前は、花実や葉の特徴から見当をつけることができますが、製品となると見た目から判断するのは簡単ではありません。色や肌触り、匂いなどで判断できる場合もありますが、それが難しい場合はルーペで拡大して調べてみたり、あるいは切片をつくって光学顕微鏡で観察することで、その植物を特定する事ができる場合があります。

Fig.1

文化財を非破壊でみる
 たとえ小さな木片でも、文化財の観察は非破壊が原則です。また観察後も元の状態で保管される必要があります。放射光を利用したX線マイクロCT技術を使えば、サンプルを傷つけることなく、必要な断面をいくらでも再生することができます。つまり、“無限に切片をつくることのできるバーチャルな木材標本”を作製できるのです。この方法を使えば、貴重な文化財に使用された木材の種類を特定することができ、わが国につたわる木づかいの文化を考えるのに役立ちます。

Fig.2

三次元情報を詳しく調べる
 シュロは箒や束子に使われる植物繊維です。シュロの幹を取り囲んでいる褐色の繊維のことですね。もともと葉のなかの通導組織として働いていた維管束と呼ばれる組織だけが残ったものです。維管束表面の細胞にはシリカが規則的に並んでおり、光や熱との関係に興味が湧くところです。放射光X線CTのデータの使い方を工夫すれば、シリカを細胞の立体的な並びを2次元平面に展開して解析するような、新しい切り口を与えてくれます。