SPring-8, the large synchrotron radiation facility

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BL35XU

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このビームラインはX線非弾性散乱と核共鳴非弾性散乱を用いて物質のダイナミクスに関する研究を行なうように設計されている。非弾性散乱分光器が主力装置である(ビームラインへの課題申請も非弾性散乱を優先する)。背面反射の光学系を採用したのはエネルギー分解能を落とさずに完全結晶のモノクロメータやアナライザーの回折角度幅を増加させるためである。しかしながら、背面反射に近い実験は入射ビームと散乱ビームを分離するために長い光路を必要とし、分光器やビームラインが大きくなる。

多くの実験は、21.748keVのエネルギー(Si(11 11 11)背面反射)で1.5meVのエネルギー分解能、もしくは15.816keVのエネルギー(Si(8 8 8)背面反射)で6meVのエネルギー分解能で、散乱面が水平面に平行な10mアームが使用されている。広いバンド幅を持つ実験条件では試料への入射線量を増やす実験、特に比較的高エネルギーの光学フォノンを調べるために、用いられる。4つのアナライザーを使用することで、それに対応する4つの散乱角でデータを一度に収集し、特に複雑系の物質や縦波方向のフォノン分散を調べる際に、水平散乱面の実験配置は実験効率を高めている。10Å-1を超える大きな散乱角の実験に関しては2.8mの垂直振りのアームを現在立ち上げ中である。この短いアームはアナライザーが受光する範囲を狭くすれば最高で3meVの分解能であり、たいていの場合には4~6meVのエネルギー分解能が提供できると考えている。

X線非弾性散乱用の試料は4軸回折計もしくはそれとは別のステージに乗せて行なう。ミラーによって試料位置のビームサイズは半値幅で100ミクロンまで集光され、小さな試料や高圧下の実験も可能である。4軸回折計に乗せるヘリウム循環型クライオスタットは約10Kまで試料を冷却することが可能であり、電気炉は約1000Kまで試料を加熱することが可能である。他の特殊な実験条件については外部のユーザーとの共同研究を考えている。すべての実験について言えることは、ユーザーは窓材の選択や試料のマウントに際してバックグラウンドを減らすために最大限努力して欲しい。

核共鳴散乱実験はアナライザーハッチよりも上流にある2つの小さな実験ハッチで可能である。最初のハッチは光学系であり(NRS-1)2番目のハッチに試料を配置する。したがって、温度変化に敏感な高分解能モノクロメータに影響を及ぼすことなく、試料交換等が行なえる。光学素子を付け加える場合、例えば、コリメータ、集光レンズ、集光ミラーや偏光素子もNRS-1におくことになる。様々なタイプのアバランシェ・フォトダイオード(APD検出器)が検出器として使用可能である。現在立ち上げ中であるものは161Dy核共鳴散乱用の0.5meV、119Sn核共鳴散乱用の約0.8meVの高分解能モノクロメータである。

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