Gd/Fe多層膜の元素別磁化過程の観察
問い合わせ番号
SOL-0000001601
ビームライン
BL39XU(X線吸収・発光分光)
学術利用キーワード
A. 試料 | 無機材料 |
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B. 試料詳細 | 磁性体 |
C. 手法 | 吸収、及びその二次過程 |
D. 手法の詳細 | MCD, LD |
E. 付加的測定条件 | 偏光(円、楕円), 磁場(< 2 T), 室温 |
F. エネルギー領域 | X線(4~40 keV) |
G. 目的・欲しい情報 | スピン・磁性構造 |
産業利用キーワード
階層1 | 記憶装置 |
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階層2 | HD、MO |
階層3 | 磁性層, 磁気ヘッド, スピンバルブ膜 |
階層4 | 磁化, 磁気異方性, 界面磁気構造 |
階層5 | XMCD |
分類
A80.14 磁性材料, M40.30 磁気吸収
利用事例本文
円偏光放射光X線を用いた磁化測定は、試料を構成する各元素ごとの磁性を調べられるユニークな手法です。この手法を用いることで、積層磁性膜中の異なる元素を含む層を選択して磁化測定を行うことができます。SPring-8 BL39XU では浸透深さの深い短波長X線を利用できるので、膜の表面層も基板に近い下層も同様な感度で測定が行えます。
図に示すのは、[Gd(2 nm)/Fe(2 nm)]x50 多層膜試料について測定した元素別磁化曲線です。この結果から、GdとFeの磁気モーメントが反強磁性的に結合していることや、保磁力やヒステリシスルー プの形状が試料全体の磁化曲線とは全く異なることが分かりました。
図. [Gd(2 nm)/Fe(2 nm)]x50 多層膜試料について測定した元素別磁化曲線
[ A. Koizumi, M. Takagaki, M. Suzuki, N. Kawamura and N. Sakai, Physical Review B 61, R14909-R14912 (2000), Fig. 2,
©2000 American Physical Society ]
画像ファイルの出典
原著論文/解説記事
誌名
A. Koizumi, M. Takagaki, et al, Phys. Rev. B 61, R14909 (2000).
図番号
Fig. 2
測定手法
元素別磁化曲線は、右回りと左回りの円偏光X線に対するX線の吸収量の差を、印加磁場の関数として測定することにより得られます。この例では、試料に含まれる Gd (7245 eV)、および Fe の特性吸収端 (7111 eV) にX線のエネルギーを設定することで、それぞれの元素に対する磁化曲線が得られます。
図: 元素別磁化測定の概念図。試料に加える外部磁場を変えながらX線磁気円二色性の信号を測定していきます。
画像ファイルの出典
私信等、その他
詳細
鈴木基寛が作成
測定準備に必要なおおよその時間
5 時間
測定装置
装置名 | 目的 | 性能 |
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XMCD測定用電磁石およびクライオスタット | 元素別磁化曲線の測定 | 磁場 ±2 T、試料温度20~300 K |
10 T 超伝導マグネット | 強磁場下での元素別磁化曲線、X線磁気円二色性スペクトルの測定 | 磁場 ±10 T、試料温度1.7~300 K |
偏光変調XMCD測定 | 高精度・高感度なX線磁気円二色性スペクトルの測定 | 0.1%以下のX線磁気円二色性シグナルの検出が可能 |
参考文献
文献名 |
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A. Koizumi, M. Takagaki, M. Suzuki, N. Kawamura, and N. Sakai, Phys. Rev. B 61, R14909 (2000). |
M. Takagaki, A. Koizumi, N. Kawamura, M. Suzuki, and N. Sakai, J. Phys. Soc. Jpn. 72, 245 (2003). |
関連する手法
VSM磁化測定, SQUID磁化測定, トルク磁化測定, 磁気カー測定, X線磁気散乱, X線磁気反射, XMCD
アンケート
SPring-8だからできた測定。他の施設では不可能もしくは難しい
本ビームラインの主力装置を使っている
同種実験は本ビームラインの課題の30%以上を占めている
測定の難易度
初心者でもOK
データ解析の難易度
中程度
図に示した全てのデータを取るのにかかったシフト数
1シフト以下