SPring-8, the large synchrotron radiation facility

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The 254th SPring-8 Seminar

Period from 15:00 to 16:00 Thu., Aug 25 , 2016
Venue Middle-size lecture hall, SPring-8 PR Center
Format Lecture
Abstract

Speaker : KANEKO Koji

Language : Japanese

Affiliation : 国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター

Title : 高性能パルス中性子を活かしたEu化合物研究の新展開

Abstract :
 物性研究に用いる中性子線の発生方法は、原子炉による定常中性子源と、加速器によるパルス中性子源の2つに大別される。後者については近年、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)、米国オークリッジ国立研究所のSNS(Spallation Neutron Source)が本格運用を開始したことに加え、欧州ではESS(European Spallation Source)が2019年の運転開始を目指して本格的な建設に着手されるなど、飛躍的に発展している。両中性子源は異なる特性を有し、相補的に利用されている。この内パルス中性子源では、短波長領域や広範な波数—エネルギー領域の高効率測定に優れている。短波長領域では、中性子吸収効果が一般に大きく減衰する。従ってパルス中性子源では、これまで吸収体として測定出来なかった化合物へと測定を拡張出来る可能性がある。そこでまず対象元素としてEuに着目し、研究を進めている。
希土類元素であるEuは、その電子数により大きく異なる磁性を示す。2価では、S = 7/2, L=0 の強いスピン磁性を示す。一方Eu3+はスピンと軌道磁気モーメントがキャンセルし、非磁性基底状態をとる(|S|= -|L|=3, J = 0)が、磁性を有する第1励起状態が比較的近接しているため、室温付近ではその影響を受けている。Euではさらに価数揺動を示すことから、電荷-磁性-軌道が密接に絡んだ新奇な物性が期待されている。実際に重い電子状態など興味深い基底状態の実現が報告され、盛んに研究されている。今回、まず2価、3価の各々の状態における中性子散乱研究として、安定な2価状態を示すEuX4 (X=Al, Ga)が示す対照的な基底状態を調べた中性子回折 [1-3]及び、3価金属状態をとるEuPd3[4]について多重項励起構造を調べた非弾性散乱実験の結果について、実験装置の紹介も含めて報告する。

[1] A. Nakamura et al., J. Phys. Soc. Jpn. 84, 124711 (2015).
[2] T. Kawasaki et al., JPS Conf. Proc., 1, 014009 (2014).
[3] T. Kawasaki et al., J. Phys. Soc. Jpn., submitted.
[4] T. Takeuchi et al., J. Phys. Soc. Jpn., 83, 114001 (2014).

Organizer : Mizumaki Masaichiro
Mail : mizumaki@spring8.or.jp
PHS : 3870

Contact Address Pring-8 Seminar secretariat JASRI/SPring-8 Minako Takao Research Coordination Division
+81-(0)791-58-0833
+81-(0)791-58-0830
minako@spring8.or.jp
Last modified 2016-08-17 14:18