大型放射光施設 SPring-8

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京都大学 北川進教授が2011年春の紫綬褒章を受章(トピック)

公開日
2011年06月17日
  • 受章

2011年春の褒章において、SPring-8のユーザーである京都大学 北川進教授(独立行政法人理化学研究所 播磨研究所 放射光科学総合研究センター 空間秩序研究チーム チームリーダー兼務)が紫綬褒章を受章されました。

受章者:
 京都大学 物質-細胞統合システム拠点 副拠点長 北川進(きたがわ すすむ)教授

 ProfessorSusumeKitagawa

研究業績:
 金属元素と有機物を利用して、設計どおりの大きさや形に分子を形作る新しい分野を開拓

研究内容:
 北川教授は金属イオンと有機化合物との自己集合による結合反応(配位結合)を利用することで、ナノメートルサイズの規則的な孔を無数に有する新しいタイプの多孔性材料(多孔性配位高分子)の開発を行った。このような材料の細孔中に気体を大量に取り込むことができることを、1997年に世界で初めて立証し、これを契機として、種々の多孔性配位高分子による水素や天然ガスの大量吸蔵を行う研究が世界中で盛んに行われるようになった。既存の多孔性材料(ゼオライト、活性炭など)を凌駕する性質や機能を開拓したことから、多孔性配位高分子の学術的・産業的価値を大きく拡げ、「配位空間の化学」という先駆的な分野を創成した。この業績は無機・錯体化学はもとより、今日の諸問題(エネルギー、環境、生命)に対し、化学が解決するために取り組む新領域の開拓を先導し、国際的に高く評価されている。同教授は多孔性配位高分子のナノ空間内での酸素の凝集状態を世界で初めて直接観測することに成功(Science 2002)するなど、大型放射光施設SPring-8を利用した研究で多数の特筆すべき成果を上げている。

受章理由:
 錯体化学、特に配位結合を用いる多孔性材料の合成化学およびそれを用いる気体物質の貯蔵、分離、精製の応用分野で大きな貢献をなし、その功績はまことに顕著であるため。