大型放射光施設 SPring-8

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糖・脂質代謝に重要なアディポネクチン受容体の立体構造を解明 -メタボリックシンドローム・糖尿病の治療薬の開発へ前進 -(プレスリリース)

公開日
2015年04月09日
  • BL32XU(理研 ターゲットタンパク)

理化学研究所(理研)横山構造生物学研究室の横山茂之上席研究員と、東京大学大学院医学系研究科の門脇孝教授、山内敏正准教授らの共同研究グループは、メタボリックシンドローム(内臓性脂肪症候群)の「鍵」分子であるアディポネクチン受容体の立体構造の解明に成功しました。

細胞膜に存在する膜タンパク質は、細胞外からのシグナル(情報)を細胞内へと伝達する重要な役割を担い、創薬の標的として注目されています。アディポネクチン受容体(AdipoR1、AdipoR2)は、メタボリックシンドロームの「鍵」分子として注目されている膜タンパク質です。アディポネクチン受容体は、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるアディポネクチンにより活性化され、細胞内において、糖と脂質の代謝を促進し、抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を発揮します。しかし、アディポネクチン受容体は、試料調製の困難さからその立体構造情報が得られていませんでした。

共同研究グループは、大型放射光施設 SPring-8のターゲットタンパクビームライン(BL32XU)を用いたX線結晶構造解析により、アディポネクチン受容体の立体構造の解明に成功しました。その構造から現在までに知られている膜タンパク質の構造とは異なる、新規の構造をしていることが分かりました。この結果は、アディポネクチン受容体の情報伝達メカニズムの解明につながるだけでなく、メタボリックシンドローム・糖尿病の予防薬や治療薬の開発に有益な情報となることが期待できます。

本研究は、文部科学省ターゲットタンパク研究プログラム、創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業、橋渡し研究加速ネットワークプログラム、科学研究費助成事業などの支援を受けて行われました。成果は英国の科学雑誌『Nature』に掲載されるのに先立ち、オンライン版(4月8日付け:日本時間4月9日)に掲載されます。

詳しい内容はについては、こちらのリンク(理化学研究所)をご覧ください。

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