大型放射光施設 SPring-8

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SPring-8 セミナー(第99回)

副題/演題 高温超伝導はどこまで理解されたか
開催期間 2003年06月03日
開催場所 上坪講堂
主催 (財)高輝度光科学研究センター
形式 レクチャー(講演)
分野 物質科学
概要

日   時 : 2003年6月3日 16:00-17:30

講演者 : 守谷 亨 東京大学名誉教授
所   属 : 東京理科大学

講演要旨
  高温超伝導を示す銅酸化物は反強磁性モット絶縁体に電子または正孔をドープしたものであり、超伝導は反強磁性の消失する量子臨界点の近傍に現れる。その課題は高いTc をもつ超伝導状態と正常状態の異常物性とを総合的に矛盾無く説明することにある。理論研究の流れはこれがモット絶縁体に近いことを強調する強結合低ドープング濃度側からの近似と、反強磁性量子臨界点に近いことを強調する中間乃至弱結合側からの近似に大別される。モデルは共通で、ハバード・モデル、またはd-p モデルであり、現在、このモデルに問題の本質が含まれているとする考え方が大勢である。前者のアプローチでは更にこれを t-J モデルで近似する。後者では量子臨界点近傍のスピンゆらぎの理論を適用する。これら二つの近似理論の適正な適用領域はモデルのパラメタ空間のそれぞれ異なる位置を占め、重なり合いは殆どない。現実の銅酸化物がこのパラメタ空間で占める位置について実験結果に基づいて考察し、上記の2領域と比較する。その結果を念頭におき、理論の現状について、厖大な実験結果の中の基本的重要事項がどこまで理解されているか、後者の理論を中心に解説する。

問い合わせ先 五十嵐 潤一 (内線 6361) (財)高輝度光科学研究センター


最終変更日 2009-05-27 12:36