大型放射光施設 SPring-8

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SPring-8放射光(ファーストビーム)の発生に成功

平成9年3月27日

日本原子力研究所
理化学研究所
(財)高輝度光科学研究センター


日本原子力研究所(理事長 吉川允二)および理化学研究所(理事長 有馬朗人)は、 共同で建設を進めている大型放射光施設 SPring-8(Super Photon ring-8GeV) の最終段の加速器である蓄積リングにおいて調整運転を進めていたところ、放射 光専用施設として世界最高性能である8GeV(80億電子ボルト)電子ビームの蓄積に 成功し、放射光(ファーストビーム)の発生を確認しました。


SPring-8は、両研究所が平成3年から兵庫県播磨科学公園都市において建設を進めてきました。 すでに初段加速器である線型加速器及び第二段加速器であるシンクロトロンでの 運転を開始しており、本年3月から最終段加速器である蓄積リングで の調整運転を実施していました。その結果、3月25日21時45分に放射光専用施設として 世界最高性能である8GeVの電子ビーム蓄積に成功し、その翌日3月26日16時50分には 放射光をビームライン基幹チャンネル部に導き、放射光が発生していることを確認致しました。


今回の成果は順調に調整運転が進んでいることを示しており、これを受けて、 引き続き、蓄積リングにおける電子ビーム強度の増強等の調整運転並びに 放射光ビームラインの調整運転を行い、秋には共同利用施設として供用を開始し、 放射光利用研究が開始される予定です。


SPring-8は、現在稼働しているESRF(European Synchrotron Radiation Facility, 欧州12ヵ国共同施設)およびAPS(Advanced Photon Source, 米国) と並ぶ第三世代の放射光施設の一つです。ESRFおよびAPSの電子エネルギーは 、それぞれ6GeV、7GeVであり、SPring-8の電子エネルギー8GeVは、 これらを上回り世界最高性能です。 SPring-8から発生する高輝度・高エネルギー放射光は、21世紀の科学技術 の発展を担う優れた実験手段として、物理学、化学、生物学などの基礎科学から、 ライフサイエンス、工学、情報・電子、医療など、広範な研究分野への利用が 期待されています。


問い合わせ先:
  • SPring-8プロジェクトに関しては、
    (財)高輝度光科学研究センター    尾野    TEL 07915-8-0960
    共同チーム播磨管理事務所     天野    TEL 07915-8-0310    
  • 蓄積リングのことに関しては、
    日本原子力研究所・理化学研究所 大型放射光施設計画推進共同チーム
    加速器系グループ 熊谷 TEL 07915-8-0861

参考資料-1
                
SPring-8 蓄積リング    
加速粒子     電子(陽電子も可能)    
電子エネルギー    8GeV    
周 長     1436m    
エミッタンス     5.6 nm・rad    
電磁石    
偏向電磁石    
台 数     88台    
磁場強度    0.68T    
重 量     約5.0トン    
4極電磁石    
台 数     480台    
磁場強度    17.6T/m(最大)    
重 量     0.85~2.84トン    
6極電磁石    
台 数     336台    
磁場強度    420T/m(最大)    
重 量     0.68~1.14トン    
ステアリング電磁石    
台 数     569台    
磁場強度    0.15T(最大)    
重 量     74~101キログラム    
入射用電磁石    
台 数     8台    
高周波加速装置    
クライストロン    
周波数    508.58MHz    
最大出力(連続)    3.0MW/周    
加速空胴    
タイプ    単セル空胴    
台 数    24台    
合計長さ    10.08m    
入力電力    2.4MW/周    

参考資料-2
        
蓄積リング建設の経緯    
機器製作着手     平成3年3月    
蓄積リング棟建設着工     平成3年11月    
ビームライン製作開始     平成7年3月    
蓄積リング棟電磁石据え付け開始    平成7年4月    
蓄積リング棟 竣工     平成8年12月    
ビームライン据え付け開始     平成8年12月    
蓄積リングのコミッショニング     平成9年3月    
(試験調整運転)開始    
今後の予定    
ビームラインのコミッショニング    平成9年5月    
(試験調整運転)開始    
放射光 供用開始     平成9年10月    

参考資料-4

SPring-8放射光の発生


SPring-8の蓄積リングは、初段加速器である線型加速器及び第二段加速器で あるシンクロトロンによって8GeV(80億電子ボルト)まで加速された電子ビームを 入射・蓄積し、磁場によって軌道を曲げられる際に発生する放射光を取り出して 利用する施設です。


本蓄積リングの周長は1436あり、電子軌道を形成するための電磁石、電子ビームの 損失を少なくして寿命を長くするための真空装置、放射光発生による電子エネルギーの 損失を補償するための高周波加速設備、高性能の放射光を発生させるための 挿入装置などから構成されています。


電子ビームは、進行方向を曲げるための偏向電磁石、集束作用を持つ4極電磁石、 安定性を増すための6極電磁石等を組み合わせて作られた周回軌道上を一周 4.8マイクロ秒で回り続けます。この間、偏向電磁石や挿入光源で軌道を曲げられ 放射光を発生します。電子ビームは、放射光を発生するたびにエネルギーを失いますので、 高周波加速設備を用いて損失したエネルギー分を加速することによって補償しています。


蓄積リングには、この他にシンクロトロンからの電子ビームを周回軌道に入れるための 入射用電磁石、電子ビームを観測するための各種モニタ、これらの機器を運転・監視 するための制御システムなどから構成されています。


本蓄積リングの電子エネルギーは8GeVで、これは専用の放射光施設では世界最高 の値です。このため、波長の短いX線領域までの放射光が発生し、利用可能な波長領 域が広くなります。 また、周長1436mも専用の放射光施設としては世界最長の値です。このため、 電子ビームを細く絞ることができ、 それから発生する放射光の輝度を高くすることできます。



 

プレスリリース 写真等の説明